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【インタビュー】豊田合成社長宮﨑直樹氏

今年は「育成」フェーズの2年目

工業用品 2016-02-08


 中長期経営ビジョンに取り組む豊田合成にとって、16年度はこれまで「種まき」をしてきた事業活動の芽が出てきて、本格的に「育成」を図る年になる。しかし、宮﨑直樹社長は「ものづくり力をさらに高めないと健全な育成はできない。今年はものづくりの基本に返り、足腰を強化する年にしたい」と、次のように話す。

 ■15年を振り返って
 15年6月17日付で社長に就任して以来、慌しい半年だったように思います。

 国内では東北地域生産子会社である豊田合成東日本(宮城県栗原市)の宮城工場(ウェザストリップ、エアバッグなど生産)が6月に稼働を開始し、11月には竣工式を開催しました。海外では、ブラジルやメキシコ、インドの新工場が相次いで稼働しました。

 さらに2年に1度の「グローバルサミット」を11月に開催しました。これは海外グループ会社のトップ、幹部が本社に一堂に会し、人事、調達、生産、技術開発など機能ごとに研鑽し、お互いに方向性や戦略などを確認する場として開いたもので、今回は約120人が参加しました。この他に、東京モーターショーを始めとする展示会にも数多く出展しました。

 ■第3四半期を終え足元の状況
 第3四半期(15年4―12月)までの業績は、地域によって良い、悪いといったバラツキはありますが、全体として想定に近いところで推移しているとみています。

 米国は堅調な動きで、収益の柱となり牽引しています。中国は経済減速がいわれている中で、比較的堅調です。ただ、欧州は苦戦しており、アセアンも期待したほどの動きを示していません。

 一方、国内では顧客の新型車投入による高い操業の状況においても、品質の高い部品を供給し、納期を守りながらいかに収益に結びつけていくかに注力することで、通期(16年3月期)業績の計画達成に向けて努力しています。
 

ものづくり力磨き上げる

 ■今後の経営方針・課題
 現在取り組んでいる中長期経営ビジョン「TG2020VISION」は、「種まき」のフェーズ(12―14年度)から、「育成」のフェーズ(15―17年度)に進んでいます。

 「種まき」は、前述したように国内外の新たな拠点での生産が順調に開始しています。今年は「育成」フェーズの2年目に当たりますが、今一度、ものづくりの基本に立ち返り、安全、品質、納期の面で足腰を強化する年にしたい。今後の健全な成長に向け、お客様の信頼を高めていくには、基本となるものづくり力をさらに磨き上げていくことが大事だと考えているからです。

 これらを踏まえ、今年の年頭のメッセージとして、従業員には①もう一度戦力を整えよう、②仕事そのものや仕事のやり方を見直し、ムダを徹底的に排除しよう、③現場の第一線から建設的な提案が出てくるような企業風土をつくろう―の3点を強調して伝えました。特に戦力については、人的リソーセスを質・量の両面で充実させる計画です。

 ■16年の見通し
 外部環境については、15年とあまり変わらないのではないかとみています。

 地域別では、米国は引き続き堅調な動きを維持するとみていますが、課題は欧州で、早く収益を上げられる体質になるように改善していきたい。

 為替については、当社は既に現地生産化が進んでいるので、為替変動の影響は小さいと思います。仮に円安から円高に振れたとしても、大きな影響は受けないとみています。

 ■最近のトピック
 社内の運動部では、バレーボール部、ハンドボール部がトップリーグで活躍しています。中でもバレーボール部の「豊田合成トレフェルサ」は、昨年12月に開催された「平成27年度天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会」で初優勝を遂げました。

 今後も常に優勝争いができるチームに成長し、社内に明るい話題を提供してほしいと思っています。

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