加藤社長 世界のゴム事情など語る
大阪ゴム工業会・青経会が新春講演会共催
工業用品 2018-03-13
大阪ゴム工業会(山内一郎会長)・青経会(伊藤吉秀会長)は3月2日、午後4時から大阪・梅田のヒルトン大阪で新春講演会を共催した。今回は加藤事務所社長の加藤進一氏を講師に招き、「世界のゴム事情と原材料市況。2018年の世界のタイヤ、ゴム業界を占う」をテーマに講義が行われた。当日は会員および賛助会員各社の役員を中心に約40人が出席した。
加藤事務所は年商13億円のゴム材料、ゴム機械販売商社で、ゴム企業が海外展開する際のコンサルタント業務も行っている。加藤氏もここ10年ほどは年に25回前後、毎月2回の頻度で海外出張を行っており、そこで得た知見をもとに日本のゴム産業の現状や世界のゴム事情、原材料市況について解説した。
それによると、日本のゴム会社は900社(中国は8,000社、インドは6,000社)。ゴム産業は材料や人材(研究・生産技術)が豊富で開発が盛ん、エンドユーザーが近いなどが特長だが、材料コストが高い、高品質すぎるなどの問題点がある。世界のゴム材料市場で日本の消費は5%程度(15年)と、世界市場での発言力は弱くなってきている。
一方で中国、インドの存在感は今後ますます高まると予測している。中国は世界第1位のゴム材料消費国であることに加え、25年を目標に高・新技術でゴム産業を改造、毎年6-4%の成長を目指している。インドは15年ほど前の中国の状況に似ており、今後10年間で世界3位以内のゴム材料消費国になると見通す。
世界各国のゴム事情が語られるなか、興味深かったのは普段知ることのないイランのゴム産業。タイヤ会社は5社、自動車ゴム部品メーカーが数社あり、自動車生産は年100万台。ゴム技術者もいるという。
ゴム原材料の足元の需給バランスについては、天然ゴムとSBR、BR、NBRは安定しているが、EPDM(一部グレード)、CR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、カーボンブラック(国内よりも海外)は不足している。特にCRは、大不足が日本にも波及しており、当分は不足が続く見通し。CRやシリコーンゴム、フッ素ゴムは大幅値上げが避けられないと予測している。
加藤氏の講演は内容の幅が広く詳細で、現地に赴いたからこそ得られる情報に出席者も熱心に耳を傾けていた。
講演会終了後には加藤氏を囲む懇親会が開催された。冒頭、山内会長が「加藤先生のお話は、限られた時間の中で、世界のゴム事情がまとめられており大変勉強になった。ゴム業界でもこのような世界的情報を定期的にアップデートする機会が今後も大切だ」とあいさつし、乾杯の発声を行った。
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