今回は半導体産業で生産に必要な巨額な投資を中心にみていきます。第6~8回で説明しましたが、半導体産業には大きく分けて「研究開発」「回路設計」「前工程」「後工程」といった工程が必要となります。

 この工程を実現するためには、設計ツール(米Synopsys, 米Cadence, 欧Siemensで約75%シェア)、製造装置(米、日、欧が各3割前後のシェア)、シリコンウエハを含む半導体材料(日本が半数を供給)も必要となります。絶え間ない技術革新が、各工程、設計ツール、製造装置、そして半導体材料には必須であり、それに必要となる先端技術の開発やそれを実現する生産には、桁違いの大きな投資を伴うので、それらを提供できる企業は限られています。

 加えて、それらの先端技術は、一つの企業はもとより、一国で全てを賄うことは不可能といえる状況なので、現在では国境を越えた半導体サプライチェーンをいかに構築できるのかが、半導体産業は言うまでもなく、経済安全保障の観点から各国政府にとっても重要な課題となっています。

 そこで、安定的な経済安全保障を確立する上で主要な部品である半導体に、各国・地域とも法整備を実施して大型補助金を投じています。先にも述べましたが、先端技術を提供できる企業が限られることもあり、各国政府の援助も企業の国籍を問わず、積極的な自国・地域への工場誘致を含めて検討・実施する状況となっています。

 それでは、現在、半導体産業に注力している米国、韓国、台湾及び欧州の状況を見てみましょう。

 米国政府は、2026年の世界半導体市場(約1兆5,000億ドル、約233兆円)でシェア36%を占め、AIやデータセンター市場のリードに不可欠な、年間112%の勢いで急成長する米国半導体市場を支えるために、米国企業はもちろん、他国先端企業の米国内への生産誘致も含めて、補助金や税額控除をセットにした包括的政策を実施しています。特に、設備投資を積極的に行う企業に対して多額の公的資金を投じています。2022年7月、半導体の生産や研究開発に527億ドル(約8兆2,000億円)の補助金を投じる「米国CHIPS法」が可決され、米国内に半導体工場を誘致するための補助金として5年間で390億ドル(約6兆円)を投じることになりました。また、人材育成・教育にも2023~27年で2億ドル(約310億円)を充てることも追記されています。ただし、補助金を原資とした株式の買戻しや増配の制限条項があるとともに、補助金を受け取る企業が今後10年間、中国で最先端半導体製造施設への新規投資・拡張を行わないことを誓約させるガードレール条項も含まれています。

 税額控除に関しては、2022年末以降に稼働する半導体工場に4年間、投資額(設備、建屋)の25%に相当する税額控除の制度を設けて、企業の対米投資を促しています。半導体研究開発に対しては、110億ドル(約1兆7,000億円)が充てられ、50億ドル(約7,800億円)が国立半導体技術センター(NSTC)の創設に、14億ドル(約2,200億円)が国立先端パッケージング製造プログラム(NAPMP)設立に、15億ドル(約2,300億円)が米国半導体製造研究所の設立に予算が付けられました。米国においては、これらの米国政府による補助金や税制支援に加えて、州政府からも支援が行われることになり、全体的には、プロジェクト案件ごとに大規模な支援が実施されることになります。

 米国商務省はこのCHIPS法に則り、「Intel」に85億ドル(約1兆3,000億円)の補助金及び最大110億ドル(約1兆7,000億円)の融資、合わせて約200億ドル(約3兆円)を提供すると発表しました(Intelが投資計画を縮小したため、補助金は78.8億ドル(約1兆2,000億円)に減額され、融資はなくなりました)。

 その他の大型案件では、台湾TSMCに対し、アリゾナ州で650億ドル(約10兆1,000億円)超を投資して建設する3件の最先端半導体製造工場に最大66億ドル(約1兆円)、韓国のサムスン電子に対し、テキサス州に建設する半導体の新工場と研究開発拠点の投資約400億ドル(約6兆2,000億円)に、最大64億ドル(約9,900億円)の支援(計画縮小のため47億5,000万ドル(約7,400億円に減額)、Micronがニューヨーク州とアイダホ州で1,250億ドル(約19兆4,000億円)を投じて新設する最先端半導体製造工場に、最大61億ドル(約9,500億円)の補助金と最大75億ドル(約1兆2,000億円)の融資、合計136億ドル(約2兆1,000億円)の財政支援が確定されました。加えて、ヴァージニア州の半導体製造工場に2億8,000万ドル(約400億円)の覚書が追加されました。

 台湾政府は、土地、電気、水などのインフラ整備やインセンティブはもとより、サイエンスパークなどに半導体のサプライチェーン企業との製造エコシステムを統合するためのスペースも優先的に割り当てています。2019年1月に台湾への投資回帰を促す補助金等の優遇策を始動し、2024年2月には台湾企業の投資金額は累計で約2兆2,000億台湾元(約10兆円)となりました。2023年1月には「台湾CHIPS法」とも呼ばれる半導体などの先端産業を支援する関連法が施行され、技術革新かつ国際サプライチェーンにおいて重要な地位を占める企業を対象に、研究開発規模や売上高に対する研究開発費、有効税率が一定の規模・割合を満たしていることを条件に、先端技術の研究開発費の25%(従来は15%)と、先端プロセスに用いる新規の機器や設備の購入費の5%(従来から継続)が当該年度の法人税から控除される措置が実施されています。

 また、台湾CHIPS法に続く措置として、2023年11月には、半導体業界の研究開発、人材育成やIC設計を支援し半導体のイノベーションを促進する「チップイノベーションプログラム」が閣議決定され、総予算は2024~2033年の10年間で3,000億台湾元(約1兆4,000億円)、うち2024年に120億台湾元(約563億円)の予算が計上されました。さらに、2024年9月には、半導体分野において、ファウンドリーとパッケージ産業で世界をリードする地位を維持するとともに、材料産業の生産額3割増加、設備産業の生産額倍増、産業全体の新規生産増加額を2兆6,000億台湾元(約12兆2,000億円)に増加させ、給与水準の高い就業機会を25万人増やすといった目標を掲げました。主な政策は、台湾産設備の採用奨励や、IC設計の研究開発補助推進、先端IC設計の人材育成推進などです。

 韓国は、2019年にSamsungとSKhynixが強いメモリービジネスに加えて、システムLSI及びファウンドリビジネス向けに2030年までの大型投資計画「半導ビジョン2030」を発表し、韓国政府も積極的な支援を表明しています。

 2021年4月には、韓国の半導体工業会に所属する大手半導体メーカートップが集まり懇談会を開催し、韓国政府に対し、国内製造施設を拡大する際のインセンティブ(補助金や税制優遇など)を増やし、他国・地域の半導体企業が追いつけないような技術的優位性をけん引する人材養成に注力することを目的とした提言書を提出しています。

 2021年5月には「K-半導体戦略」を発表し、半導体メモリー首位の座を強固とするだけではなく、2030年にシステムLSIでも世界最高を目指す「総合半導体強国」の実現を宣言しました。そのために、ソウル近郊に世界最大・最先端の半導体供給網「K-半導体ベルト」を構築し、安定的な半導体サプライチェーンの確保を目指しています。政府は2030年までの半導体業界の累積投資額を約510兆ウォン(約51兆円)以上と想定し、半導体関連のR&Dと施設整備に対し税制支援を行います。その他にも、人材・市場・技術確保などの半導体の成長基盤の強化や、M&A審査制度や国家核心技術のセキュリティー管理を強化する危機管理対応を打ち出しました。

 2023年3月には、韓国半導体産業育成のための“韓国CHIPS法”と言われる「租税特例制限法」が成立・施行されました。半導体をはじめとする国家戦略技術に対し、研究開発費には従来通り世界最高水準となる30~50%の税額控除が適用されるとともに、事業化施設への投資税額控除率が、大企業・中堅企業で8%から15%に、中小企業で16%から25%にそれぞれ拡大されました。直近3年間の年平均投資金額比の投資増加分に対する臨時投資税額控除(2023年は10%、2024年以降は4%)も加わりました。

 さらに、韓国政府は2024年6月に「半導体エコシステム総合支援推進策」を、同年11月には「半導体エコシステム支援強化法案」を発表し、2025年2月には租税特例制限法の改正が可決されています。

 主な内容は、①金融支援:17兆ウォン(約1兆7,000億円)の低利融資プログラム(2025年に合計14兆ウォン(約1兆4,000億円)以上の政策金融支援を実行)、及び半導体エコシステムファンドの拡大(2025年に1,200億ウォン(約120億円)の半導体エコシステムファンドを新規創設し、現在は3,000億ウォンから最大4,200億ウォン(約300億~420億円)まで拡大)②税制支援:半導体企業の設備投資に対する税額控除率について、大企業・中堅企業は15%から20%に、中小企業は25%から30%に引き上げるとともに、「国家戦略技術」と「新成長・源泉技術」のR&Dに対する税額控除適用期限を2029年末まで5年延長(半導体R&Dについては31年末まで7年延長)する③財政支援:先端パッケージング技術などの開発及び国産の人工知能(AI)半導体の実証・商用化支援、産業界の要望に応じて、半導体特性化大学・大学院・AI半導体大学院の拡大、優秀人材の海外流出防止や先端産業の人材育成強化を支援する④インフラ支援:新規半導体クラスター・龍仁国家産業団地の道路・用水・電力などインフラ構築への国費支援を継続する、等となっています。

 また、2025年3月には、半導体や自動車など戦略技術に携わる企業に対する資金援助を目的とした50兆ウォン(約5兆円)規模の先端戦略産業基金を新設すると発表しました。基金は17兆ウォン(約1兆7,000億円)規模で、運営中である半導体低利支援プログラムに、バッテリーやバイオなどの支援を狙いとした資金34兆ウォン(約3兆4,000億円)を加えて設立する計画です。韓国産業銀行が管理し、今後5年間で対象企業に対し低金利融資や投資を行う予定です。更に、2025年4月には、重要な半導体産業に対する33兆ウォン(約3兆3,000億円)規模の支援策を発表し、半導体産業への金融支援プログラムも、17兆ウォン(約1兆7,000億円)から20兆ウォン(約2兆円)に拡大されました。半導体クラスター造成に必要な送電線地中化費用についても70%負担する予定です。

 このように韓国政府は、矢継ぎ早に半導体業界に対する支援策の新設打ち出しているのに続き、2026年6月に「3大メガプロジェクト構想:半導体、人工知能で自律的にロボットを制御するフィジカルAI、AIデータセンターの3分野」への大規模な投資計画を発表しました。この中では、2030年6月までに韓国南西部に大規模な半導体生産拠点建設する予定です。SKhynixとSamsungとAmkorが計896兆ウォン(約90兆円)を投資します。政府はインフラや投資環境を整備し、企業の投資を後押しする方針です。SKhynixは約470兆ウォン(約47兆円)を投じ、半導体工場2基と1ギガワット規模のAIデータセンターを建設し、Samsungは約425兆ウォン(約42兆5,000億円)を投資し、半導体メモリー工場2基とAIコンピューティングセンターなどを構築し、Amkorは約1兆ウォン(約1,000億円)を投じパッケージング工場を増設します。韓国政府が2021年に想定していた2030年までの半導体業界への累積投資額を大幅に上回る積極投資が行われようとしています。

 欧州は2023年9月に、政策パッケージ「欧州 Chips Act」の施行を決定しています。この政策パッケージは、総額430億ユーロ(約7兆1,000億円)規模の公的・民間投資を呼び込むことを目標としたものになっています。EU域内の半導体の供給安全性・レジリエンス・技術主導権を高め、2030年までに先端半導体の世界シェアを20%倍増することを目指しています。

 具体的には、①Chips for Europeイニシアティブとして最先端の次世代半導体・量子技術に関し、研究開発基盤(パイロットライン)を整備、各国にコンピテンスセンターの設置、設計プラットフォームの構築、研究・イノベーション活動への補助金の提供等を実施します。②製造設備投資の支援として、半導体製造・テスト・組立への投資を呼び込み、生産能力の強化に向け、助成・行政手続きの簡素化、パイロットラインへの優先アクセスなどを実施します。その中にはSTMicro、TSMCやNanoICなどへの支援も含まれています。③監視と危機対応として、半導体供給のモニタリング、需要見積り、供給不足の予測、重要分野への優先供給などの危機対応をEUが連携して実施します。

 製造設備投資への支援では、スイスの半導体大手STMicroと米半導体受託製造GlobalFoundriesが仏南東部クロルに75億ユーロ(約1兆3,000億円)を投じて建設する半導体工場に、2030年までに半導体部門支援として55億ユーロ(約9,900億円)を投じる計画の一部となる29億ユーロ(約4,900億円)の補助金を受ける予定です。新工場では回路線幅18nmの製品を28年までにフル生産する事目指しています。

 2024年8月には、台湾TSMC主導の新工場に対するドイツ政府の50億ユーロ(約8,200億円)の支援措置を承認しています。新工場は、TSMCの他にBosch、Infineon、NXP がそれぞれ10%出資する合弁会社(ESMC)により運営されます。ESMCで生産を予定する半導体は12~28nmであり、工場建設は総額100億ユーロ(約1兆7,000億円)と見込まれ、工場の建設は2024年後半にスタートし、2027年の生産開始を目指しています。しかしながら、2022年に計画されたIntelのドイツにおける半導体生産拠点の建設計画及びポーランドにおける半導体組み立て・検査工場の新設については、2024年の計画中断を経て2025年7月にIntelの市場予測に基づく計画中止が発表されましたが、この工場建設の支援には99億ユーロ(約1兆6,200億円)の政府補助が予定されていました。Intelの計画中止によって、欧州では最先端半導体の生産計画が白紙となってしまいました。

 そこで欧州委員会は、欧州Chips Actに基づく欧州最大のパイロットラインである「NanoIC」を、IMEC(Interuniversity Microelectronics Centre:ベルギーのルーヴェン)内に半導体研究開発拠点として立ち上げました。欧州の先端半導体開発と製造にとって重要な役目が期待されています。総投資額は25億ユーロ(約4,300億円)で、この施設はEUと国および地域政府から7億ユーロずつ(約1,300億円)、残りはASMLやその他の業界パートナーから資金提供を受けています。NanoICは2nmを超える技術を用いたチップの設計・製造に注力した、最先端の極紫外線リソグラフィー装置を導入したヨーロッパ初の施設となり、AI、自動運転車、医療、6Gモバイル(技術の開発に不可欠な次世代半導体技術の開発を加速させます。

 中国は、産業政策「中国製造2025」により、国家ICファンドを中心として大型の政府補助金で、次々と半導体企業を創出し、半導体各分野で徐々にシェアを伸ばし続けることで、2025年までに半導体の70%を国産化することを目標としていました。国家ICファンドから地方政府ファンドまで、半導体に対して約1,000億ドル(約15兆5,000億円)規模の資金注入を計画・実行しており、「国家集積回路産業投資基金(大基金)」で1期(2014~19年:1,387億元、約2.8兆円)、2期(2019~24年:2,042億元、約4兆1,000億円)、3期(2025年~:3,440億元、約6兆9,000億円)と投資して、独自の半導体サプライチェーンを構築しようとしています。

 具体的な投資先等は明らかにされていませんが、1期では半導体製造と設計の関連した企業、特にその投資の63%をファウンドリーなどの製造企業、2期では米国政府による先端半導体関連規制の影響で、設計企業への投資が1期の半減となる10%に削減された一方、先端半導体製造企業関連への投資が75%に増加しています。3期では、AI向けの半導体製品や製造装置などに加えて、シリコンウエハや化学品、産業用ガスなどの材料を製造するメーカーの育成にも力を入れ、中国国内での半導体サプライチェーン構築を急いでいるように見えます。

 また、2025年の科学技術予算は前年比10%増の3,981億元(約8兆円)へと引き上げられ、AIなどの基礎研究を拡充したほか、AI半導体向けの製造装置や材料の研究開発を中心に使われています。このような投資には、華為技術(HUAWEI)を支援する狙いがあるという見方も一部に広がっています。米国による極端紫外線(EUV)露光装置の輸出規制により、SMICは旧世代の深紫外線(DUV)装置への依存を余儀なくされ、複雑な多重パターニング技術で微細化を図っています。ただ、密度と効率の面で限界があり、チップ全体の能力では依然として1世代以上の開きがあるものの、HUAWEIに7nm相当の「Kirin9030」プロセッサを供給しています。加えて、材料では、シリコンウエハや化学品、産業ガスなどを製造するメーカーも育成し、先端半導体の完全国産化の態勢を急いでいるようです。今後は、装置、材料等への投資に加え、HBM(次世代3D積層型メモリ)等の高付加価値DRAMの開発も重点投資対象となる可能性も考えられています。

 半導体サプライチェーンの今後を考える上で見逃せないのが米中摩擦の影響です。米国は2010年代後半以降、中国の半導体産業育成が軍事・安全保障と結び付いているとの認識を強め、トランプ政権期の2019年ごろから半導体を含む対中輸出規制を本格化しました。まずは、ZTE(中興通訊)やHUAWEIなど特定企業を対象に輸出管理を強化しました。更に、バイデン前政権下では「CHIPSプラス法」によって自国の産業基盤を固めるのと同時に、中国に対する締め付けを一段階引き上げました。2022年10月、米商務省産業安全保障局(BIS)は、先端半導体および半導体製造装置の対中輸出を大幅に制限する規則を発表、即時施行しました。個別企業を対象にしたものから包括的な規制に変わり、米国の対中強硬路線が一層強化されました。

 その後も、米国は制度の実効性強化と抜け穴封鎖を目的に段階的な見直しを継続しています。この2022年10月以降の米国による対中輸出管理強化の影響は、半導体製造装置の貿易フローに大きく反映されています。規制対象品目の中核をなす「半導体または集積回路の製造用装置」の中国輸入動向を確認すると、主要な半導体製造装置メーカーを擁するオランダ、日本、米国からの中国への輸入額が、図1にあるように2022年後半から低下しています。2023年後半から増加しているのは、オランダも輸出管理を強化したために、本来であれば購入していたであろう先端の製造装置の代わりに、旧式の装置をより多く中国が購入したことによるものです。

 日本は2023年7月に外国為替および外国貿易法(外為法)を改正し、先端半導体の製造装置など23項目を輸出管理の対象に加えています。これによって、中国は先端半導体の開発・製造が実質不可能となりました。中国は本来強みを持つ成熟プロセスにおいて、さらに生産能力を強化しながら、規制対象外のDUV露光装置等を活用して先端プロセス開発を進めようとしていると言われています。

 NVIDIAのH200※1やAMD GPU MI325Xなども、実質的に中国に輸出できなくなりました。(2026年1月に個別審査で一定の条件下で輸出承認がされるように制度変更されました)。また、既に米国政府の投資支援でも触れましたが、米国Chips法により補助金を受け取る企業が、2022年以降の10年間、中国で最先端半導体製造施設の新規投資・拡張を行わないことを誓約させるガードレール条項があり、米国の規制解除以降も、中国では短期間での最先端半導体の研究・開発・生産体制構築が容易ではなさそうです。

※1:NVIDIA H200は、Hopperプラットフォーム世代のデータセンター向けGPUで、H100の強化版という位置づけです。Hopperは最新プラットフォームRubin、その前の世代Blackwellより古い世代となります。

 ここまで、海外の白熱する官民一体となった半導体への投資状況を見てきました。民間半導体企業の勢いのある台湾と韓国、AIをリードする米国は必要不可欠な先端半導体を円滑に確保出来るサプライチェーンの構築に苦悩しています。先端半導体技術の域内導入が遅れている欧州、先端半導体の開発と生産に制約を受けている中国、各国・地域の半導体業界の様々な事情により、その産業戦略のポイントと方法が異なっています。

 このような世界半導体環境下で、日本の半導体業界はどのような方法で半導体産業の復活を模索しているのでしょうか。日本半導体企業の現状だけでなく、半導体需要を支えているAI市場などの状況を踏まえて次回以降みて行きたいと思います。