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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、下げ一服感も、夏枯れ相場

連載 2017-08-07

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=200―210円のレンジで上値の重い展開になった。

 上海ゴム相場が調整売り優勢の展開になっていることに加えて、為替相場が円高気味に推移したことが嫌気されている。ただ、上海ゴム相場も本格的に値崩れを起こすような勢いはなく、200円の節目割れは回避されている。決め手となる材料の乏しさから出来高も低迷しており、全般的に売買見送りムードが目立った。いわゆる「夏枯れ」気味の相場展開になっている。

 引き続き国際ゴム価格形成の主導権を握っているのは上海ゴム相場の動向になるが、その上海ゴム相場は上値が重いながら本格的に値崩れを起こすこともない中途半端な値動きになっている。中心限月が2017年9月限から18年1月限に移行する時期とあって、専ら限月切り替えに伴うロールオーバーが取引の中心になっている。ただ、既に18年1月限へのポジション以降が順調に進む中、上海ゴム相場には下げ一服感も浮上し始めている。

 中国コモディティ市場全体に目を向けると、鉄鉱石や石炭相場などは総じて今年の最高値圏での取引になっており、上海ゴム相場のみが高値から大きく水準を切り下げた格好になっている。このため、これ以上の大幅な値下りは拒否され始めている模様だ。

 もっとも特に明確な売買テーマが存在する訳ではなく、目先は中国人投資家の瞬間的な売買に左右される不安定な値動きが続き易い。

 産地集荷量は安定している。タイ中央ゴム市場の集荷にも特に目立った問題は見られない。ただ、産地相場も専ら上海ゴム相場の動向に一喜一憂する展開になっており、産地情勢は必ずしも重視されていない。

 タイ当局者からは、8月中にも市況対策で輸出規制を行うことに意欲が示されているが、現段階では具体的な協議スケジュールなどの発表は行われておらず、市況対策への期待感を織り込むような動きも見られない。タイ産RSS現物相場は1キロ=50バーツ台前半から中盤に低迷していることで、生産国農家の危機感は強いながらも、現時点では明確な市況対策が打ち出されるには至っていない。

 米中関係悪化、米国の7月新車販売鈍化といったネガティブな動きもみられるが、需給関連の動きはポジティブ材料もネガティブ材料も殆ど材料視されておらず、マーケット全体に気迷いムードが広がっている。

 今後は、中国コモディティ市場全体における上海ゴム相場の割安感是正の動きがみられるか否かが焦点になる程度である。
 (マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)

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