【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、米中関係改善が下値支える
連載 2025-11-03
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=310円台前半をコアにやや底固く推移する展開になった。米中関係の改善期待から投資家のリスク選好性が高まったことで、ゴム相場も底固く推移した。ただし、ゴム需給に対する影響は限定的との冷静な評価も根強く、大きな値動きには発展しなかった。

為替相場は1ドル=152円台をコアに売買が交錯し、為替要因による積極的な売買もみられなかった。原油相場が改めて上値の重い展開になったことはネガティブ。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万5,000元台前半から中盤でやや底固く推移した。10月29日高値は1万5,670元に達し、9月25日以来の高値を更新した。
10月30日に米中首脳会談が行われた。中国側はレアアースの輸出規制の先送り、合成麻薬「フェンタニル」対策の強化、米国産農産物の大量購入などを約束し、米国は11月1日から予定されていた中国に対する100%の追加関税を見送り、さらに対中関税を10%引き下げると表明した。仮に米中両国が関税の応酬を再開すると世界経済に大きな混乱が生じる可能性があったが、両国が歩み寄りをみせたことは資源価格全体にポジティブになる。実際、非鉄金属や鉄鉱石相場が強含んでおり、その流れを受けてゴム相場も底固く推移した。ただし、ゴム需要環境・見通しに大きな修正を迫ることが可能かは疑問視する見方も多く、堅調地合いを維持するにとどまった。
米財務省が10月22日にロシア石油会社ロスネフチとルクオイルに制裁を課したことを受けて原油相場が急伸していたが、上値の重さを再確認していることはネガティブ。中国やインドの石油会社がロシア産原油の取引に慎重になっており、その結果、中東産原油に代替需要が発生している模様だ。ただし、原油需給の緩和状態が是正される可能性は低いとの見方が強く、原油相場は改めて軟化している。このため、原油相場主導でゴム相場が大きく上昇するリスクは後退した。
産地では雨がちな天候が続いている。しかし、ゴムの生産・流通に対しては大きな混乱などは報告されていない。逆に年間で最も生産量が上振れしやすい季節環境がネガティブ材料視されているが、供給サイドの要因で売り込むような動きはみられなかった。順サヤ(期近安・期先高)は維持された。
10月27日にOSEゴム先物10月限が受渡日を迎えたが、受渡価格は311.50円となった。9月限の315.00円を3.50円下回っているが、4月限以降は300円台前半をコアに小動きが続いており、ゴムの実勢価格は、過去半年間にわたって大きく変動していないことが再確認できる。
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