PAGE TOP

【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、330円水準で揉み合う展開に

連載 2024-07-01

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=330円水準で売買が交錯する展開になった。6月10日の360.90円をピークに、産地主導で19日には323.80円まで値下がりしていた。しかし、当限の下げ渋りを受けて期先限月もこれ以上の安値形成を拒否する中、ほぼ横ばいで推移する展開になった。為替が円安に振れたことも、円建てゴム相場にはポジティブ。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万5,000元を挟んで売買が交錯した。1万5,000元割れに抵抗をみせるも、改めて上値を買い進むような動きはみられず、方向性を欠いている。6月11日の1万6,110元で上げ一服となっているが、1万5,000元割れに対しては引き続き抵抗感が見受けられ、週を通じてトレンドが定まらなかった。

 タイ中央ゴム市場(ソンクラ)のRSS現物相場は、6月27日時点で前週比0.8%高の74.88バーツとなった。USS、ラテックス、カップランプは値下がり傾向が維持されたが、RSSは消費地相場の下げ渋りもあって、明確な方向性を打ち出せなかった。

 東南アジアでは引き続き高温傾向が強いものの、ゴム供給不安は緩和傾向にある。一時期のように各地で40度を超える熱波が報告されるような状況にはなく、ゴム供給環境の安定化期待は強い。季節的にも降水量が安定して得られやすい時期にあり、依然として高めの価格水準を維持していることが、農家の生産意欲を高めやすい環境になっている。

 それにもかかわらず消費地相場は下げ一服となっている。JPXゴム相場の場合は、当限が350円水準からの値下がりに抵抗をみせているため、逆サヤ(期近高・期先安)の過熱感から期先限月のみが値下がりしづらくなっている。

 6月24日に6月限が受渡日を迎えたが、受渡価格は348.40円となった。5月限の329.50円を18.90円上回っている。そして7月限は6月限にサヤ寄せする形で350円水準まで値上がりし、大幅な逆サヤ環境が維持されている。当限が350円水準を維持すると、期先は330円水準でも下げ過ぎ感が認められる。この結果、上値は重いものの下げ渋る展開になった。上海ゴム、産地相場も同様の値動きになっている。

 一方、為替市場では急激な円安・ドル高圧力が発生し、1ドル=160円台中盤から後半と、約38年ぶりの円安環境になった。日本当局が改めて円買い介入に踏み切るリスクも警戒されているが、6月27日時点では前週比で約2円の円安・ドル高であり、為替要因でも円建てゴム相場は下げ渋る展開になった。原油相場は底固い展開が続いているが、大きな値動きはみられなかったため、ゴム相場に対する影響は限定された。

関連記事

人気連載

  • マーケット
  • ゴム業界の常識
  • 海から考えるカーボンニュートラル
  • つたえること・つたわるもの
  • ベルギー
  • 気になったので聞いてみた
  • とある市場の天然ゴム先物