【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、ボックス内での調整売り
連載 2023-09-25
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=230円台前半で小幅安になった。高値ボックス圏内での値動きだが、やや調整売りが上値を圧迫する展開になっている。ただし、積極的に売買を仕掛けるような動きはみられず、引き続き8月下旬から9月初めにかけての急伸地合が一服した後のボックス相場になっている。為替相場が円安傾向を維持していること、原油相場の高騰はポジティブ。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万4,000元台前半で調整売り優勢の展開になった。短期投機筋が主体の不安定な地合になっているが、1万4,000元台中盤での上値の重さを受けて、調整売り優勢の展開になった。ただし、高値ボックス相場からは抜け出せていない。
9月4日の239.00円で上げ一服となった後のボックス相場が続いている。踏み上げ相場で急伸地合を形成したが、上げ一服後の次のトレンド形成が見送られている。取組高の急減が止まっていること、出来高が低迷していることからも、積極的な売買が見送られていることが確認できる。主に上海ゴム市場における短期投機筋主導の売買環境が続いている。
中国経済に対する過度の警戒感が後退していることはポジティブ。9月14日には中国人民銀行(中央銀行)が今年2回目となる預金準備率の引き下げに踏み切っている。中国政府が大規模な対策を打ち出すのが難しい状況が続く中、金融政策の調整が活発化してることはポジティブ。ただし、中国株や非鉄金属相場などは下げ一服感がありながら安値修正を見送っており、ゴム相場も決め手を欠いている。
上海取引所のゴム認証在庫は9月入りした後も増加傾向に歯止めが掛からず、9月15日時点では11週連続で累計28%増加しているが、あまり材料視されていない。中国では9月29日~10月6日までが国慶節の連休になるが、それと前後して上海ゴム相場に新たな動きがみられるのかが注目される程度になろう。
タイ中央ゴム市場の現物相場(ソンクラ)は、9月21日時点でRSSが前週比0.4%高の1キロ=50.89バーツとなっている。産地相場にも特に目新しい動きなどは確認できない。消費地相場との連動性が重視されており、産地主導の価格形成は見送られている。モンスーンによる豪雨も生産地の一部で報告されているが、供給リスクを本格的に織り込んでいくような動きはみられない。
為替市場では円安環境が続いている。ドル/円相場は2022年11月以来の円安・ドル高となる1ドル=148円台まで上昇している。ただし、原油高と同様に円安環境に対してもマーケットの反応は鈍い状態が続いている。
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