【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、堅調な中国経済指標で上昇
連載 2023-03-06
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=230円水準まで値上がりする展開になった。220円台中盤から後半で動意を欠く展開が続いていたが、中国経済指標の改善を受けて買いが膨らみ、約1カ月ぶりの高値を更新した。為替が円安気味に推移したこともポジティブ。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000元台中盤で揉み合う展開になった。中国経済に対する信頼感の回復が下値を支えたが、大きな値動きには発展しなかった。膠着気味の展開が続いており、明確な方向性を打ち出せていない。
3月1日に中国の2月製造業PMIが発表されたが、強めの数値になったことがゴム相場を下支えした。国家統計局発表で前月の50.1に対して52.6、財新発表で同49.2に対して51.6になっている。春節の影響で1~2月の統計はブレが生じやすいが、それを考慮に入れても強い数値になったことはポジティブ。
2022年10~12月期の経済活動縮小、そして新型コロナウイルスの大規模な感染被害が続いたことで、マーケットではゼロコロナ政策終了後の中国経済が早期に復調するのかについては、懐疑的な見方も根強かった。このため、実際の回復を示すデータの存在が強く求められていたが、少なくとも製造業分野に関しては活動が急激に活発化している可能性が示された格好になる。天然ゴム相場以外に、非鉄金属や原油相場なども中国経済指標の改善を手掛かりに地合を引き締めた。さらに中国のゴム需要拡大期待を織り込むような動きがみられるのかが焦点になる。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、3月2日時点でUSSが前週比2.1%高の1キロ=49.02バーツ、RSSが同4.1%高の53.01バーツ。低集荷環境の中で、改めて産地相場が地合を引き締めていることはポジティブ。
ウインタリング(落葉期)を迎えて減産傾向が強まり始めている一方、東南アジア全域で豪雨や洪水被害が報告されており、供給環境がやや不安定化している。消費地相場の堅調地合も産地相場を下支えしている。
ただ、JPXゴム相場では当限から相場を大きく押し上げていくような動きまではみられなかった。3月2日終値では、3月限の212.60円に対して8月限は231.00円であり、順サヤ(期近安・期先高)環境は維持されている。
JPX発表の生ゴム指定倉庫在庫は、2022年末の5,167トンに対して、直近の2月20日時点では8,777トンまで急増している。入庫量に対して出庫量が抑制されており、在庫が急激に詰み上がっていることはネガティブ。当限の上値を圧迫している。
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