【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海ゴム主導で小幅高
連載 2023-01-16
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、年末年始を挟んで1キロ=220円水準で方向性を欠いたが、その後は上海ゴム相場主導で220円台中盤まで小幅値位置を切り上げる展開になった。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000元台後半での保ち合いを経て、1万3,000元の節目を巡る攻防になった。年初は世界経済の減速懸念で原油を筆頭にコモディティ相場が急落したが、上海ゴム相場は逆に押し目買い優勢の展開になった。中国政府は1月8日、新型コロナウイルス対策の「ゼロコロナ政策」終了を正式に発表している。これを受けて、中国経済の正常化が急ピッチに進むとの楽観的な見方が上海ゴム相場を押し上げている。
足元では新型コロナウイルスの厳しい感染状況も報告されており、1月22日から始まる春節の連休で、感染被害が一段と深刻化するリスクも警戒されている。しかし、中国政府はあくまでも経済活動の正常化を急ぐスタンスを鮮明にしており、改めてロックダウン(都市封鎖)などの行動規制を導入する可能性は極めて低いことが確認されている。
世界銀行が2023年の世界成長率見通しを半年前の3.0%から1.7%まで大幅に下方修正するなど、世界経済の先行き不透明感は強い。高インフレとそれに対応するための各国の利上げ対応が景気動向に大きなダメージを与える可能性が高いとみられている。ただ、コモディティ市場では中国経済の正常化が着実に進めば、コモディティ需要は底固く推移するとの楽観的な見方も強く、原油や非鉄金属相場は年初の急落から大きく切り返している。このため、上海ゴム相場もやや安値修正の動きが優勢になったが、1万3,000元台では戻り売り圧力の強さも同時に確認されており、大きな値動きには発展しなかった。昨年12月の取引レンジが踏襲されている。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、1月12日時点で昨年末に対してUSSが0.4%高の1キロ=44.55バーツ、RSSが同1.1%安の47.11バーツ。上海ゴム相場は年初から底固さを見せているが、産地相場の値動きは鈍かった。
特にRSSに関しては年初から集荷量が急増しており、上海ゴム相場主導の上昇に抵抗を見せた。
JPXゴム先物相場も期先限月は上海ゴム相場連動で安値修正の動きを見せたが、当限は安値保ち合い気味の展開に留まっている。1月12日時点では、1月限の209.40円に対して中心限月の6月限は226.00円であり、16.60円と比較的大きな順サヤ(期近安・期先高)が形成されている。上海ゴム主導の上値追いに対しては、依然として慎重姿勢も目立った。
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