【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、中国経済再開期待で底固い
連載 2022-12-19
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=230円水準でやや底固い展開になった。引き続き上海ゴム相場主導の展開になっているが、その上海ゴム相場が高値波乱ながら底固く推移したことが好感されている。為替が円高気味に推移したことはネガティブだが、10月11日以来の高値を更新している。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元水準で揉み合う展開になった。10月10日以来の高値を更新しているが、突然に急落するような場面もみられるなど、高値波乱の展開になっている。
中国経済に対する信頼感の高まりが、上海ゴム相場を支援する展開が続いている。新型コロナウイルス対策の行動規制緩和を受けて、徐々に経済活動が刺激されるとの期待感が強い。ゼロコロナ政策の大幅な見直しが、中国経済に対する信頼感を高めている。
急激な行動規制の緩和を受けて、改めて感染被害が広がることで、消費や生産活動に影響が生じるのではないかとの慎重な見方も根強い。ただ、上海ゴム市場では楽観ムードが維持されており、1万3,000元台での取引時間が増えている。上海ゴム相場がこのまま9月30日高値1万3,500元突破からの一段高を打診するのか、それとも11月入りしてから続く上昇地合が一服するのかが、年末・年始に向けての焦点になる。
インフレ対応で各国中央銀行の利上げが続く中、世界経済の減速懸念が強くなっていることはネガティブだが、もっぱら中国経済リスクの評価が重視される地合が続いている。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、12月15日時点でUSSが前週比1.2%高の1キロ=45.30バーツ、RSSが同2.0%高の48.58バーツ。消費地相場の堅調地合が続く中、産地相場もやや底固く推移している。集荷量には特段の変化はみられない。
日本の気象庁の「エルニーニョ監視速報」では、今後ラニーニャ現象が収束に向かい、冬の終わりには平常の状態になる可能性が高いとの見通しが示された。異常気象による大規模な生産障害発生のリスクは、中期的に軽減される方向性にある。
一方、JPXゴム先物相場は急激な順サヤ(期近安・期先高)を形成しつつある。上海ゴム相場の堅調地合が期先限月を押し上げるも、当限が上値追いに対して慎重姿勢を見せていることが窺える。過熱感から期先高が高値限界を迎えるのか、当限にも安値修正圧力が強まることでさらに騰勢を強めるのかが注目されている。
為替市場で、やや円高・ドル安傾向が強くなっていることは、円建てゴム相場の上値を圧迫している。ただ、大きな値動きではなかった。
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