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欧州、北米へ供給 2023年下期には年産500万本体制

TOYO TIRE、セルビア工場で開所式

タイヤ 2022-12-19

TOYO TIREは12月14日、セルビア・インジヤ市に新設した自動車用タイヤ生産工場で開所式を開催した。開所式には同社の清水隆史社長、来賓としてセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領、勝亦孝彦駐セルビア特命全権大使等が出席。約140人が参列した。(現地取材:志水靖彦)

開所式の様子

セルビアのヴチッチ大統領も出席

あいさつする清水社長


あいさつするヴチッチ大統領


 開所式では冒頭、清水社長が「セルビア、日本両国の国交樹立140周年にあたる記念すべき年に、当社は未来へ向けて事業を推し進めるべく、セルビアの地に根を下ろし、新しいタイヤ工場を操業した。まさに『両国発展の礎』となり、『両国の将来の架け橋』となる、そのような気概を胸に、従業員が一丸となって開所準備を進めてきた。

 当社は、売上高の9割を占める主幹事業として、自動車用タイヤを日本、米国、マレーシア、中国で製造し、販売してきた。1945年の創業以来、77年にわたって多くのお客様から支持をいただき、独自の技術力に裏打ちされた、魅力ある高付加価値商品を開発、グローバルに届けてきた。当社初の欧州生産拠点として誕生したセルビア工場は、進化していくモビリティ社会に対する事業戦略上、新たな要になるといえる。

 最先端の材料技術によって開発したタイヤをセルビア工場で生産し、工場敷地内に設けたテストコースでの実証実験によって、変化の速いマーケットに対しても、ニーズの高い魅力ある商品をスピーディーに供給していく。欧州地域での地産地消を進めることはもちろんのこと、主力の米国市場に向けた戦略的供給拠点としての機能をフルに発揮し、存在価値の高い工場に成長させていく考えだ。

 セルビアは国として、質の高い労働力創出プログラムを打ち出している。ヴチッチ大統領からは、将来有望な人材の育成と確保に向けた支援の話を頂戴し、早速、当社からもセルビア国内の大学や研究機関とコンタクトを取り、当社の技術部門と共同で研究開発を行うプロジェクトが始動したところだ。

 従業員がしっかりと技術を習熟し、TOYO TIREの一員であることに誇りを抱き、セルビアの国の皆さんに喜んでもらえる生産拠点になるよう、また、取引している顧客の期待に応えていけるよう、しっかり取り組んでいくことを約束する」とあいさつ。続いて勝亦特命全権大使、ヴチッチ大統領があいさつした後、だるまの目入れ、鏡開きが行われた。

Toyo Tire Serbia


 セルビア工場は、ERP、MESをはじめとした最新技術の導入により工程を見える化し、高い生産性を有する設備を高精度に連携させることで、生産管理体制を高次に最適化していくスマートファクトリー。投資額は約488億円(3億9,050万ユーロ)で、約60万平方メートルの敷地を有する。従業員数は約580人で、乗用車用、SUV用、ライトトラック用ラジアルタイヤを生産。生産能力は乗用車用タイヤ換算で年500万本。7月から、立ち上げを完了した一部ラインで操業を開始していた。2023年下期には年産約500万本の生産体制が整う。

 工場棟には直線720メートル、周回1,690メートルのテストコースが隣接。欧州で細かく定められている法規制認証に対応した評価をスピーディーに実施することで、魅力ある製品のよりタイムリーな市場展開が可能になる。なお、工場敷地内には、同国最大規模となる太陽光発電システム(発電電力容量8.4MW)を設置。年間10.15GWhの発電電力をまかない、同7,100トンのCO2削減にも寄与する。

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