【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海ゴム主導で安値修正
連載 2022-11-14
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=210円台まで切り返す展開になった。中国経済の減速に対して高いレベルの警戒感が維持されるも、上海ゴム相場主導で安値修正の動きがみられた。10月31日の年初来安値207.10円をボトムに、11月9日高値は220.40円に達した。ただ、その後は戻り売りに上値を圧迫され、210円台中盤まで軟化している。
上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000元台中盤まで切り返す展開になった。10月31日の1万1,585元からおおむね1,000元幅の値上がりになっている。中国経済の減速懸念を背景に急落地合が続いていたが、短期的な下げ過ぎ感や過熱感を背景に安値修正の動きが優勢になった。また、中国の新型コロナウイルス対策の軽減を巡る情報が流れていることも、上海ゴム相場を押し上げた模様だ。原油や非鉄金属相場は、中国経済減速懸念に上値を抑えられる展開になったが、ゴム相場は逆に地合を引き締めている。
中国では新型コロナの新規感染者数が増加傾向を強めており、行動規制を巡る議論が活発化している。ただ、中国のコロナ対策に関しては情報が錯綜しており、コモディティ市場全体が投機色の強い不安定な値動きを迫られている。共産党大会ではゼロコロナ政策を堅持する方針が確認されているが、その一方で市民生活や経済活動に対する影響があまりに大きいため、規制レベルの引き下げを巡る議論も活発化している。このため、もはや春先に上海や香港で行ったような大規模なロックダウンは行われないとの見方が浮上していることはポジティブ。
しかし、中国保健衛生当局者からはゼロコロナ政策の厳格な運用を行うとの発言もあり、マーケットは評価に迷っている状態にある。このため思惑先行の値動きながら、上海ゴム相場に関しては安値修正の動きが優勢になった。さらに安値修正の余地が存在するのかが焦点になる。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、11月10日時点でUSSが前週比0.4%高の1キロ=46.18バーツ、RSSが同0.6%高の46.98バーツ。消費地相場の下げ一服で産地相場も下げ一服となったが、大きな値動きは見られなかった。
産地では引き続き雨がちな天候が報告されており、USSの集荷量がやや落ち込んでいる。ただ、大規模な洪水被害などの報告はなく、RSSの集荷量が安定していることもあり、産地主導の価格形成は見送られている。
為替市場で円安圧力が一服していることはネガティブ。為替要因に基づく値動きは限定された。もっぱら上海ゴム相場の動向が重視される展開になっている。
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