【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海安と産地高で不安定化
連載 2022-02-21
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=250円台で揉み合う展開になった。上海ゴム、産地相場がともに底固く推移するなか、2月14日には259.80円まで値上がりし、2021年5月28日以来の高値を更新した。その後も産地相場は底固く推移しているが、上海ゴム相場が突然に急落地合に転じたことで、JPXゴム相場も上げ一服となり、250円の節目水準まで下押しされている。
上海ゴム先物相場は春節の連休明け後は底固く推移し、2月11日には1トン=1万4,805元まで値上がりしていた。しかし、その後は突然の急落地合に転じ、2月17日の取引では一時1万4,000元台を割り込み、1月28日以来の安値を更新している。
上海ゴム相場の安値修正の動きが一服し、改めて戻りを売られる展開になっている。鉄鉱石について中国政府が価格統制に乗り出した影響なども指摘できるが、石炭相場は景気刺激策に対する期待感から底固く推移しており、ゴム相場が急落する特段の理由は見当たらない状態になっている。投機色の強い値動きとの評価になろう。改めて1万4,000元の節目水準でサポートされるかが焦点になる。
一方、産地相場は一貫して底固い展開が続いている。2月入りしてからはウインタリング(落葉期)の傾向が強くなっており、タイ中央ゴム市場でも集荷量が著しい落ち込みとまでは言えないが、抑制された状態が続いている。東南アジアの降水量はやや回復を見せているが、それでもタイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなどは週間降水量がゼロに近い地域も目立つ。マレーシアやインドネシアでは安定した降水量が確保されているが、減産期型の季節環境に移行が進んでいる。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、2月17日時点でUSSが前週比1.6%高の1キロ=60.96バーツ、RSSが同0.7%高の64.23バーツ。ともに堅調に推移しているが、特にUSSは連日のように2021年6月以来の高値を更新している。消費地相場の値動きが不安定だったことでRSSは値動きが不安定化する場面も見られたが、低集荷環境を背景としたUSS高が、RSSもサポートしている。さらに減産期型の上昇圧力が強まるかが焦点になる。
上海ゴム相場が投機売りで軟化する一方、産地相場は季節要因から強含みに推移しており、JPXゴム相場の値動きは不安定さが目立つ。産地相場主導で当限を中心に地合を引き締めるのか、上海ゴム相場主導で期先を中心に地合を悪化させるのかが注目される。当先の順サヤ(期近安・期先高)は縮小傾向を強め、上海主導の軟化に当限は抵抗を見せ始めている。
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