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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、天候不順で産地の上昇再開

連載 2020-10-19

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=190円台後半まで値上がりする展開になった。10月15日には一時204.10円まで値上がりし、8月31日以来の高値を更新している。

 産地相場が改めて騰勢を強める中、当限は昨年7月30日以来の高値を更新している。一方、期先限月ではリスク投資の地合が重視されている、週前半は株高連動で地合を引き締めたが、米国の追加経済対策に対する期待感の後退、新型コロナウイルス・ワクチンの治験中止の報が流れると株安連動で軟化し200円台を維持できなかった。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元台前半まで値上がりする展開になっている。国慶節の連休明け後は騰勢を強めており、中心限月ベースでは2018年1月以来の高値を更新している。

 産地相場が改めて騰勢を強めている。タイ中央ゴム市場のRSS現物相場は10月15日時点でUSSが前週比3.9%高の1キロ=56.86バーツ、RSSが同4.9%高の59.89バーツとなっている。ここ最近はRSSで50バーツ台後半に居心地の良さを感じる向きが多かったが、改めて価格水準が大きく切り上がっている。

 一時は価格高騰で集荷量が急増していたが、改めて集荷量が抑制されていることが、価格を刺激している。ラニーニャ現象が発生する中、東南アジアでは台風、豪雨、洪水などの被害報告が相次いでいる。本来であればこの時期は年明け後の減産期に向けて在庫積み増しを進めることになるが、今季は生産障害の影響もあって、十分に在庫手当てが進まないことに対する危機感は強い。

 10月はシカゴ穀物、コーヒー、砂糖、パーム油など農産物市場全体が天候リスクに対して敏感に反応しており、ゴム相場に対しても天候リスクのプレミアム加算が促されやすい状況になっている。

 一方、欧米などを中心に新型コロナウイルスの感染被害が広がり続けていることはネガティブ。特に欧州では期間を限定して完全なロックダウン(都市封鎖)を導入する必要性も議論されており、タイヤ販売鈍化に対する警戒感が強い。ただ、中国の9月新車販売台数は前年同月比12.8%増の256万5,000台となっており、5カ月連続で2ケタの伸び率を維持している。このため、需要ショックを本格的に織り込むような動きは見られなかった。欧米のタイヤ販売環境が一段と悪化するのか、踏みとどまるのかが注目されている。

 期先限月に関しては、比較的単純に株価との連動性が重視されている。米国大統領選が11月3日に迫っているが、世界の株価が総じて堅調地合を維持できるか否かが焦点になる。

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