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【マーケットアナリティクス】

天然ゴム相場の11月前半のレビューと11月後半のアウトルック

連載 2016-11-15


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

11月前半のレビュー

 11月前半のTOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1㎏=183.00円での取引開始後、短期的な上げ過ぎ感や米大統領選に絡んだ先行き不透明感などから一時176.60円(11月2日)まで下落した。しかし、その後は上海ゴム相場の急騰、更には円安を背景に改めて急伸地合を形成し、11月11日の取引では200円の節目も突破して昨年7月以来の高値を更新している。

 最大の上昇要因になったのは、世界最大の取引量を誇る上海期貨交易所の人民元建て天然ゴム相場が急騰したことである。10月末時点では1トン=1万4,170元で取引されていたのが、11月中旬には1万6,000元台後半まで値位置を切り上げている。もっとも、中国国内の天然ゴム需給環境に何か大きな変化が生じている訳ではなく、専ら投機要因との見方が支配的である。11月の中国コモディティ市場で急騰したのは天然ゴムに限定されておらず、鉄鉱石や石炭なども需給動向に関係なく全面高の展開になっている。中国当局は「ファンダメンタルズに基づかない投機」だと懸念を表明しているが、未だその投機活動の収束は確認できない状況になっている。

 また、為替相場で強力な円安圧力が発生していることにも円建てゴム相場に対してはポジティブである。米大統領選でのトランプ氏勝利後は、財政出動拡大期待から米金利上昇圧力が強くなっており、ドル高・円安が進行している。1円の円安で円建てゴム相場は1㎏あたりで1.8円前後の値上がりが想定されることになる。

 一方、生産地では天候不順の影響もあって集荷量が抑制されているが、こうした供給環境は特に材料視されていない。産地相場も専ら上海ゴム相場と連動した値動きが続いており、産地需給は殆ど関心を払われていない。

11月後半のアウトルック

 11月後半は、引き続き上海ゴム相場の動向が注目されることになる。中国当局はコモディティ市場の投資家に対する信用供給(=資金提供)の禁止、取引所は証拠金引き上げなどで投機活動の抑制に動いており、こうした投機規制の動きが効果を発揮すると、上海ゴム相場の急反落から東京ゴム相場の下落リスクも高まることになる。なお鉄鉱石や石炭価格の急騰が続いているが、ここにきて上海ゴムや大連大豆相場が突如急落する場面がみられるなど中国コモディティ市場の値動きは徐々にではあるが不安定化している。中国当局による投機規制の動きが成功すれば、昨年に中国株が投機規制で急落したのと同じ相場パターンがゴム相場でも繰り広げられる可能性が高まる。

 10~11月に上旬にかけての東京ゴム相場の急伸は、専ら上海ゴム相場の急騰に連動した動きのため、中国当局が投機抑制に本腰を入れ始めた以上は、調整リスクを警戒すべき局面と言えよう。投機売買が繰り返される上海ゴム相場次第の不安定な相場環境が続く見通しであり、上下どちらの方向に動くにしても、ボラティリティの高い相場展開が想定される。

 一方、東南アジアではなお各地で洪水被害が報告されており、天然ゴムの集荷環境も悪化している。ただ、RSS集荷量の落ち込みが深刻化している訳ではなく、産地主導で上昇トレンドを形成するような動きは確認できない。価格高騰でも集荷量が増えないことからは、タッピング(ゴムの樹液採取)に障害が発生していることが強く窺えるが、供給懸念を価格に織り込むまでのひっ迫感はない。産地相場も、上海ゴム相場主導の展開が続き易い。

 なお、米大統領選でのトランプ氏勝利で、米国が貿易障害の設定に動き出すと、天然ゴム需要環境にネガティブな影響が生じる可能性もある。ただ、当選後のトランプ氏はこれまでの強硬発言を微妙に修正していることもあり、トランプ・リスクに注意は必要だが、現段階での織り込みまでは要求されていない。

【レンジ】
11月前半の取引レンジ 176.60~211.70円
11月後半の予想レンジ 180.00~230.00円

【プロフィール】
小菅 努(こすげ つとむ) マーケットエッジ株式会社 代表取締役

 1976年千葉県生まれ。筑波大学卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。コモディティ市場や金融市場の調査・研究・分析業務に従事。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)

http://www.marketedge.co.jp/
https://twitter.com/kosuge_tsutomu

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