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連載コラム「白耳義通信」②

「ベルギーの現在(いま)」

連載 2016-11-16

鍵盤楽器奏者 末次克史

 お隣フランスやドイツなどの大国とは違って、ベルギーが日本で話題になることはそれほど多くない。ただ今年の春、ベルギーが大きく取り上げられる事が起こった。

 3月22日、首都ブリュッセルのブリュッセル空港 Brussel-Nationaal luchthaven(蘭)Aéroport de Bruxelles-National(仏)と地下鉄マールベーク駅 Maalbeek(蘭)Maelbeek(仏)において連続爆破テロ事件が発生。あれから約 8ヶ月経とうとしている現在のベルギーをお伝えしたい。

 街の中心地や駅など、人が多く集まる場所には依然としてライフルを持った軍人を見かけるものの、空港やショッピングセンターにおけるセキュリティチェックは事件発生当時より穏やかになっている。街の警備が厳しくなったのは、実はベルギー連続テロ事件より前のことで、昨年11月13日、パリで起きた同時多発テロ事件後からである。

 当初は、普段見慣れないライフルを見るだけでドキッとしたものだが、最近は慣れてしまった感もある。大勢の人が繰り出すところでのスリ、置き引きなどが減って、以前より却って安全なようにも思える。

 ベルギーに住んで約20年になるが、これまでもそして事件後もブリュッセルが取り立てて危険だとは感じたことはない。ただ郊外に住む人の中には昔から少し怖いと言う人もいたりして、こればかりは個人の捉え方なので何とも言いようがない。

 どこの街でも少し注意が必要な所があったりして、それを知っているか知っていないか、そして知らなくても感じることが出来るか出来ないかで、印象も大きく変わってくるだろう。電車の中でずっとスマホに夢中になって、周りで何が起こっているか余り見ていない人の方が危険のような気もする。

 事件後、一番心配していたイスラム教徒への迫害だが、大騒動になるようなことは今のところない。異なる宗教、価値観を持った人々が共存する愛と寛容の国だと思う。ただ、理想を求めた結果がアメリカ合衆国大統領選挙の結果なのだとすれば、ベルギーもそしてヨーロッパもこれから揺れていくのではないだろうか。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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