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価格改定、品種統合など実施

ゴム板メーカー、利益改善に取組む

工業用品 2016-11-16

 ゴム板メーカー各社が、利益改善に取り組んでいる。今春(3-6月)、厚板と呼ばれる汎用品を中心に価格改定を打ち出したことに加え、不採算品からの撤退を含めた品種統合を推進。その成果が出始めている。

 価格改定を打ち出したのはタイガースポリマー、クレハエラストマー、日東化工、十川ゴム、オーサカゴムの5社。プレス製品の厚板は製造コストが嵩むだけでなく、重量や体積の大きさから運送コストも高くなる。各社ともこれまで、製造効率を高めるなどの自助努力によりコスト上昇分を吸収してきたが、事業継続の限界に至り、改定に踏み切った形。各社とも、交渉はほぼ完了しているという。

 価格改定と併せ、不採算品への取り組みに注力しているのが、クレハエラストマーと日東化工の2社。

 クレハエラストマーが4月からスタートした中期経営計画では、赤字事業となっているゴムシート事業の黒字転換が最優先課題。それに向けた価格改定については6月中にほぼ完了。品種統合についても着実に交渉を進めており、進捗は順調のようだ。

 一方、日東化工では全事業を含めた構造改革を昨年から実施。収益力および財務体質の改善を目指している。その中で、ゴムシートについては汎用品に加え、特殊品についても価格是正や不採算品の販売見直しに取り組んでいる。

 同社が、10月28日に発表した16年度第2四半期業績は、純利益が2四半期連続で増加するなど収益力が改善してきている。同日開催された決算説明会では、「構造改革による一定の成果があった」(日東化工)と好感触を得ている。

 ゴム板メーカーでは、価格改定や不採算品からの撤退などにより、売上高よりも利益を重視する体制へと舵を切っている。そうした施策が進むことで、厳しい状況にあった利益面がどこまで改善されるのか、注目される。

1-9月 生産減も出荷安定

 日本ゴム工業会が発表した1-9月のゴム板・出荷実績は、生産量は1万4712トンで前年同期比1.5%減、出荷量は1万4322トンで同0.7%増となった。

 生産量は1月から4月まで4カ月連続で前年同期を上回ったもののその後一転し、5月から9月まで5カ月連続で前年同月割れとなった。

 一方出荷量は7月に同8.8%減少しているほかは安定しており、ほぼ前年並みで推移している。

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