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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、需給緩和評価で年初来安値

連載 2018-11-12


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=160円の節目水準、TSRが140円台中盤まで軟化する展開になった。世界的な株安傾向は一服しているが、上海ゴム相場の上値の重さから売り優勢の展開が続いている。RSSは年初来安値を更新している。

 上海ゴム相場は10月下旬に1トン=1万2,000元の節目を大きく割り込む展開になったが、11月入りした後は1万1,015元まで下値を切り下げている。1万1,000元割れは回避しているが、強力な下値切り下げプレッシャーが維持されていることが、東京ゴム相場も押し下げている。

 11月末の20カ国・地域(G20)首脳会合に向けて、トランプ米大統領と中国の習国家主席は電話会談を行い、通商問題について協議を行ったことが確認されている。トップ会合で米中貿易戦争に終止符が打たれる可能性が浮上していることは、ゴム相場に対してポジティブである。特に米中間選挙では下院で民主党が過半数を握っており、議会から米中関係改善圧力が強まる可能性も想定しておく必要がある。

 ただ、ゴム相場はこうした通商リスク軽減の可能性にほとんど反応を示しておらず、地合の悪さが再確認されている。マーケットでは通商リスク改善が実現するのか懐疑的な見方が根強いことに加えて、中国経済減速に対する警戒感も強く、期待先行でゴム相場の安値是正を進めるような動きは見送られている。

 一方で、東南アジアの気象環境は安定しており、エルニーニョ現象の発生が警戒されながらも、供給サイドに目立った問題を確認することはできない。時期的に生産量は徐々にピークアウトに向かうことになるが、依然として需要をカバーするに足る供給環境は確保されており、潤沢な在庫環境の影響もあって上値の重い展開が続いている。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、11月8日時点でUSSが前週比3.3%安の1キロ=38.69バーツ、RSSが同2.2%安の40.35バーツとなっている。10月下旬以降は下落ペースが加速していることで、東京ゴム相場も当限の下落傾向が強くなっている。

 生産国では市況対策を求める声も強くなっているが、マレーシア当局は財政制約などから介入を行わない方針を再確認している。農家の売り渋りなども警戒される状況だが、産地主導で安値是正を進めるような動きは確認できていない。

 米中通商環境の改善、突発的な供給障害などが発生しない限り、ゴム相場の大きな上昇は難しい情勢になっている。2016年の東京ゴム150円、上海ゴム1万元といった節目水準も意識され始めている。

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