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【マーケットアナリティクス】

天然ゴム相場の9月後半のレビューと10月前半のアウトルック

連載 2016-09-30

9月後半チャート

9月後半チャート

9月後半のレビュー

 9月後半のTOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1㎏=157.90円での取引開始後、23日の170.90円まで急騰する展開になった。これまでの3カ月半にわたって150~160円をコアとしたボックス相場が続いてきたが、このボックス上限をブレイクしたことで弱気筋が一斉に買い戻しが迫られる「踏み上げ相場(ショート・スクィーズ)」が実現している。これは5月18日以来の高値更新になる。その後は月末にかけて上げ幅を削ったが、160円台中盤を維持している。

 9月下旬は突然にゴム相場が急騰したが、需給環境・見通しに何か大きな変化が生じた訳ではない。実際に、今回の上昇地合はこれまでのような現物市場に直結した期近限月ではなく期先限月主導であり、投機要因の影響が極めて大きな値動きであったことが窺える。これまで150円水準での押し目買い、160円水準での戻り売りという比較的単純なトレードが優位性を得ていたことで、160円近辺で売り込んでいた向きが、その後の急伸地合で損失確定の買い戻しを迫られ、それが更に相場を押し上げる展開になった模様だ。

 一方、ラニーニャ現象の影響で東南アジアでは豪雨や洪水被害の報告が増えているが、現段階では明確な供給障害などは確認できていない。タイ中央ゴム市場のRSS3号現物相場は、9月16日の1㎏=51.92バーツに対して29日時点では53.60バーツまでの小幅上昇に留まっている。集荷量にも特に目立った増減は確認できず、産地需給要因に基づく価格形成の動きは限定されている。産地相場は、専ら上海や東京市場の値動きを眺めながらの展開に留まっているが、消費地主導の急伸地合に対しては一定の抵抗をみせている。9月入りしてからは上海取引所の認証在庫が減少に転じており、8月26日時点の31万4,310トンに対して9月23日時点では28万6,070トンとなっているが、依然として余剰感が強く、こうした動きも殆ど材料視されていない。

10月前半のアウトルック

 10月上旬は、上海ゴム相場の動向が注目される。上海ゴムは需給緩和見通しを背景に改めて1トン=1万元の節目を割り込んだが、その後は6月と同様に自立反発局面を迎えたことが、東京ゴム相場が急騰するきっかけになったためだ。このまま上海ゴム相場が安値是正の動きを継続すると、東京ゴム市場でも改めて売り玉整理の動きを迫られ、170円台を回復する可能性は残る。ただ、9月下旬の急伸局面で売りポジションの整理は概ね消化が終わっており、ここから上海ゴム相場が本格的な上昇トレンドを形成しなければ、東京ゴム相場の上昇余地は限定されよう。チャート上に形成された158.80~161.10円のギャップ(窓)を埋めると、150~160円のレンジ回帰が決定的となる見通し。

 最大需要国である中国経済見通しに大きな変化は見られないが、天然ゴムと同様に中国経済に対する依存度の高い非鉄金属相場がリバウンドしていることは、ポジティブ材料である。中国の新車販売も8月まで6カ月連続で前年実績を上回っているが、9月もこのトレンドが維持されれば、相場の下支えにはなろう。ただ、中国国内の在庫には依然として余剰感が強く、9月に入ってから在庫取り崩しが目立つとは言え、前年同期の水準を65%も上回っている。非鉄金属相場の上昇についても持続性のある動きかは疑問視され、徐々に上値の重さが再確認される可能性が高い。

 産地オファー相場が1㎏=160セント台前半を維持する中、円高圧力を考慮に入れても当限が170円台を大きく割り込む必要性は乏しい。こうした中、期先限月が150円台を大きく割り込むリスクも後退している。含み上げ相場の反動安が続けば150~160円のレンジに回帰することになるが、上海ゴム相場の1万元割れで産地オファーを改めて引き下げない限り、増産期ながらも値崩れは想定し辛い状況にある。

 一方で、改めてゴム相場を大きく押し上げていくようなテーマは乏しい。ラニーニャ現象の発生で天候不順が発生し易くなっているが、本格的な供給障害が発生しない限りは、期先170円台から更に急騰する必要性も乏しい。9月前半からマクロな需給緩和見通しに大きな変化が生じている訳ではなく、相場の急伸を促すには4月同様に突発的な供給トラブルが要求されることになる見通し。

 9月上旬と比較すると下値は切り上がっており、年初来安値(144.50円)を更新するリスクは低下している。一方で、160円台確立から170円台までの一段高を試すには産地供給障害や急激な円安などが要求されることになり、従来よりも若干コアレンジを切り下げたボックス相場が続き易い。

【レンジ】
9月後半の取引レンジ 156.60~170.90円
10月前半の予想レンジ 155.00~175.00円

【プロフィール】
小菅 努(こすげ つとむ) マーケットエッジ株式会社 代表取締役

 1976年千葉県生まれ。筑波大学卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。コモディティ市場や金融市場の調査・研究・分析業務に従事。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)

http://www.marketedge.co.jp/
https://twitter.com/kosuge_tsutomu

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