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巨大地震や人工振動等に対応した技術評価

日本免震構造協会、第25回協会賞受賞作品を発表

その他 2024-04-09

 日本免震構造協会(中澤昭伸会長)は3月29日にWebで会見し、第25回日本免震構造協会賞の受賞結果を発表した。同賞は免震構造等の技術の進歩および適正な普及発展に貢献した個人、法人および団体を対象に与えられるもので、同協会では2000年から実施している。

 会見では冒頭、中澤会長が「今年の1月1日には能登半島で大地震が発生した。当協会で現地の免震建物33棟を調査した結果、建物だけでなく、設備機器や什器など建物の内部にも全く被害がなかったことが分かった。そこが免震構造の強みだと思う。

 当協会の協会賞は今回で25回目となるが、最近の作品はデザインにも工夫がこらされ、技術的にも優れたものが増えている。協会賞はその中で特に優れた建物、技術を評価することを目的としている。同賞を通じて、さらなる免震・制振構造の普及・発展に繋げていきたい」とあいさつした。

 続いて、受賞作品が発表された。今回は技術賞2件、作品賞4件の計6件が受賞した。技術賞は「想定レベル2地震を超える巨大地震に備えた戸建免震住宅の取り組み」(一条住宅研究所/一条工務店/H.R.D.SINGAPORE)と、慢性質量装置を用いた防振床機構「ダイナミック・ライブ・フロア」の開発(清水建設)の2件。前者は独自開発のオイルダンパーを従来の戸建住宅免震に付加することで、建築基準法が定めるレベル2を超える大地震にも対応可能とした技術が、後者は音楽ライブで大人数の観客が音楽にのって行う「タテノリ」などの人工振動を、振動遮断機構を開発・実装することで、低減ではなく遮断する技術が評価された。

 作品賞は歴史的な価値を活かし再生させた「九段館テラス」(鹿島建設)などの4件で、それぞれの免震技術の応用が建築やデザインと高いレベルで融合していることなどが評価された。

 表彰委員長の山梨知彦氏は今回の応募作品について、「デザイン性の向上はもちろん、想定外(レベル2)の地震に対応できることや、地震以外の都市振動への対応を意識した作品が多かった。特に都市振動については技術賞のライブホールでのタテノリの振動や、工場の都心回帰による様々な活動による振動などを含み、それに対応する建築物が増えている」と総評した。

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