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免震建築物の最新情報発表も

日本免震構造協会、通常総会・懇親会を開催

その他 2023-06-19

 日本免震構造協会(中澤昭伸会長=織本構造設計)は6月13日、東京都港区の明治記念館で2023年度通常総会および懇親会を開催した。懇親会は4年振りの実施となり、会員企業や来賓など129人が参加した。

あいさつする中澤会長


 懇親会では冒頭、同協会が通常総会および日本免震構造協会賞、優秀修士論文賞の表彰式が滞りなく終了したことを報告。その後、中澤会長が登壇し、概略以下の内容であいさつした。

 今年創立30周年で記念フォーラムを開催
 「当協会は今年、創立30周年を迎えるにあたり、記念フォーラムをはじめ、さまざまなイベントを計画している。9つの委員会を発足して進めているなかで、会員企業の皆様には多大なご尽力頂いており感謝申し上げる。

 今年はトルコ・シリアで大地震があった。当協会では国際委員会、災害時調査部会が中心となり、8月に十数人のメンバーによる調査団で災害調査を計画している。調査はトルコの免震協会やイスタンブールの工科大学などの協力を得て行うもので、これを機にトルコとのさらなる技術交流を図っていきたい。トルコでは今、病院の免震化を進めている。今回の震源の周辺にも免震化した病院が十数棟あったが、2度の大地震にも関わらず、通常業務に支障がなかったとの報告を受けている。免震構造の素晴らしい効果を改めて実感している。

 そのほか、当協会では十数年前から(実大の免震・制振部材の動的性状を確認できる)大型動的試験機導入の活動を続けてきたが、このほど国土交通省の尽力もあり、E-Defense(実大三次元震動破壊実験施設・兵庫県)の敷地内に無事竣工した。今後、動的試験機での免震装置および部材の性能評価が進むことで、より使用者が安心できる部材になればいいと考えている」

 続いて、国土交通省住宅局の今村敬参事官の祝辞や、協会賞功労賞を受賞した和田章同協会前会長のあいさつの後、日本建築構造技術者協会の常木康弘会長が乾杯の音頭を取り歓談に入った。

2021年末の免震建築物計画は5,286棟、集合住宅、病院・診療所が伸長

 日本免震構造協会は6月13日開催の通常総会で、免震建築物の最新情報を発表した。
 それによると、2021年末までの免震建築物の計画棟数累計は5,286棟となり、2020年から127棟増加した。着実に伸びている一方で、過去5年の増加棟数をみると、2017年238棟、2018年188棟、2019年220棟、2020年193棟と200棟前後で推移しており、これを踏まえると2021年は伸び悩んだと言える。

 累計数の内訳は、集合住宅39%、事務所15%、病院・診療所13%の3用途が7割近くを占め、以下、庁舎7%、倉庫5%、工場3%、研究施設3%、警察・消防署2%と続く。直近5年の用途割合と比べると、集合住宅が5ポイント(P)、病院・診療所が4P増加した一方で、庁舎が5P、倉庫が4P、工場が2P減少した。

 そのほか、60メートル以上の高層免震建築物は722棟、既存の建物基礎など免震装置を設置する免震レトロフィット建築物は186棟。戸建住宅の把握数は4,749棟と2020年から横ばいとなっている。

 地域分布を上位からみると、東京1,418棟(2020年末からの増加数53棟)を筆頭に、神奈川603棟(同21棟)、大阪394棟(同20棟)、千葉323棟(同15棟)、愛知316棟(同17棟)、埼玉233棟(同11棟)と都市圏が続く。そのほか、過去に大地震の影響を受けた宮城223棟(同2棟)、兵庫185棟(同2棟)、茨城98棟(同6棟)、福島55棟(同2棟)、熊本43棟(同1棟)などの地域や、南海トラフ地震の影響が大きいと見られる、静岡231棟(同5棟)、三重59棟(同1棟)、高知53棟(同2棟)など太平洋側も多い。

 東京23区内も上位から、港区168棟(同9棟)、千代田区124棟(同2棟)、中央区95棟(同2棟)、江東区87棟(同0棟)、渋谷区75棟(同5棟)と続き、マンションや商業施設など高層建築の多いエリアが多くを占めている。

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