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実大動的試験施設設立の必要性訴求

日本免震構造協会、免震・制振シンポジウムを開催

その他 2020-09-25

 日本免震構造協会(和田章会長)は9月14日、明治記念館で「国土強靭化に応える確かな土木建築の免震・制振構造の展開」と題したシンポジウムを開催した。

和田章会長


 同シンポジウムは、近年大型化が進んでいる免震・制振部材の性能を直接検証・評価することができる実大動的試験施設の設立の必要性を広く訴求し、その動きを促すことを目的としたもの。

 日本は免震・制振技術で世界をリードする立場にある一方で、実大の部材に対し実際の荷重、速度、変形を3軸方向に同時に与えて試験を行う施設がないことが問題となっている。

 今回のシンポジウムは、同施設の設置に向けて多くの関係者の支援を受けて開催に至ったもので、当日は約160人が参加。また、会場の様子はYouTubeでライブ配信され、1,589人が登録し視聴した。

 冒頭、小林秀雄副会長があいさつに立ち、「諸外国ではアメリカ、イタリア、台湾、中国で軸力5,000トンを超える大型動的試験装置が設置され、実大部材の動的実験的検証が行われている。日本では時間とコストをかけ、海外に持ち込んで試験を行っているのが実情だ。国際的に遅れを取らぬよう、日本でもこれを設置し、国際標準に合わせた試験が実施できる体制を整えることが急務だ」と訴えた。

 続いて、来賓者のあいさつが行われ、衆議院議員・元国土交通大臣の太田昭宏氏、参議院議員の三浦のぶひろ氏、国土交通省技監山田邦博氏、日本建設業連合会会長・日本経済団体連合会副会長の山内隆司氏が祝辞を述べ、2つの基調講演を含む4講演が行われた。

 基調講演は「日本の未来と国土強靭化の推進」国土学総合研究所長の大石久和氏と、「極限地震動に如何に対処するか?―免震・制震研究と確証実験の必要性―」京都大学名誉教授の家村浩和氏の2件。大石氏は国土強靱化の観点からインフラの再構築の重要性を強調したほか、家村氏は自身が参加してきた主な地震災害調査結果や橋梁の耐震性向上手法などの事例を紹介した。

 講演終了後にはパネルディスカッションも行われた。会に先立ち和田会長が登壇し、「免制震部材メーカーの持つ試験機では大きい部材をダイナミックにテストできるほどの機能はない。小型の部材を使い、直径が2倍になれば抵抗は4倍になるなどの計算で行っているのが実情だが、それではなかなか上手くはいかない。実大動的試験機があれば、多くの製品の検証も可能になり、つくり手のさらなる真剣さや施主の安心にもつながる」として、改めて試験施設の必要性を訴求した。

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