【特集】合成ゴム
住友化学、ラービグEPDMプラント 4-6月に試運転
原材料 2017-03-07
住友化学の17年3月期第3四半期(4-12月)業績におけるEPDM(エチレンプロピレンゴム)事業は、前半は市況悪化により苦戦を強いられたものの、足元は特に東南アジアを中心に持ち直してきている。
同社がサウジアラビアにおいてサウジアラムコ社と進めている「ラービグ計画」でのEPDM新プラント(年産7万5,000トン)は、当初計画より若干の遅れが生じているものの、今年の4-6月頃にはメカニカル・コンプリーション(図面通りに組み立ておよび据え付けができているかを点検・試運転すること)の予定という。製品ができ次第、ユーザーへのサンプル出荷を行う計画。
同社ではEPDMの生産拠点として千葉工場(年産4万トン)を有しているが、「ラービグ計画の新プラント稼働により、原料面・立地面からみてもコスト競争力がある製品を作ることができる。今後、汎用品はサウジアラビアで、特殊品は千葉工場で製造し、すみ分けを行っていく」(住友化学)という。なお、ラービグでの生産品は地域を限らずに、全世界で販売を行っていく構想。「ただ、アジア、中国、欧州が距離的には近いので、どうしてもその地域向けが増えると思う」(同)という。
EPDM事業の今後の戦略としては、「まずは新プラントをしっかりと稼働させ、軌道に乗せることが大前提。そのためのプレマーケティングも行っている。EPDMは世界的に供給過多の状況といわれていたが、足元では若干改善されてきた。売りにくいタイミングを脱してきていると思うので、うまく今後に繋げていきたい」(同)としている。
EPDMの新グレードとしては、耐油性、耐寒性、耐熱性などをそれぞれ向上した新グレードを順次開発・上市している。「当社のEPDMは自動車用途が7割と大部分を占める。性能を向上させたグレードによって他のゴムからの置き換えを狙い、販売量の拡大を目指す」(同)考えだ。
第3四半期におけるS-SBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)事業は、市況悪化によって厳しい状況となった。
同社は16年12月、S-SBR事業について、日本ゼオンとの間でジョイントベンチャー「ZSエラストマー」を設立すると発表。今年4月からの営業開始を目指している。
シンガポール工場の第2期については、「まずは第1期(年産4万トン)をフル稼働にもっていくことが重要。第2期はその後の需要動向やZSエラストマー社との調整をみながら判断する」(同)という。
S-SBRの今後の戦略については、タイヤのグリップ性能、摩耗性能、省燃費性能の向上に寄与できるようなグレードの開発に注力していく方針。「当社のS-SBRはバッチ重合法によって生産しているため、ハイエンド向けの性能を出しやすい。この特徴を生かして、拡販を図っていく」(同)という。
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