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【インタビュー】三和化工社長吉田典生氏、多品種・小ロット対応が強み

工業用品 2017-08-28


 三和化工の吉田典生社長に、同社の歴史やモノづくりに対する考え方、業績の現況、経営課題などについてインタビューした。

 ■事業概要
 当社は発泡ポリエチレンと合成ゴムスポンジの専業メーカーで、多品種・小ロット対応を強みに事業展開している。発泡ポリエチレンは1965年の創業時から手がけている主力製品で売上高の85%を占めている。

 一方の合成ゴムスポンジは、20年ほど前から事業展開しているが、業界では後発になる。そのため、業界標準であった厚さ30ミリではなく、50ミリを基準に生産設備を整え市場参入した。30ミリよりも50ミリの方が製造するのは難しいが、他社との差別化をはかるため挑戦した。建設工事の緩衝材など厚さが求められる用途では、30ミリよりも50ミリの方が有利で、後発ながら新規需要を開拓することができた。

 発泡ポリエチレンや発泡ゴムの製造方法は、連続長尺とブロック状との2タイプがあるが、当社はブロック状で生産している。連続長尺による生産方法は薄物に適しており厚みは20ミリ程度が限界だろう。一方、ブロックによる生産方法では、厚いものが生産できるというのが強みといえる。

 当社では、ブロック状に発泡した素材をスライスしたり、さまざまな形状にカットしたりして顧客に供給している。また素材として供給するだけでなく、当社が企画・開発した製品を完成品としても供給している。ポリエチレンフォーム売上高の10-15%が完成品としての販売で、この比率は年々高まっている。素材販売では、加工メーカーに納めるだけなので、自社製品がどのような人たちに、どのように活用されているのかまったく分からないが、完成品ならばユーザーに直接対応できるので、ニーズを把握する上でも有利だ。

 ■生産拠点
 福井市、兵庫県朝来市生野町、茨城県石岡市に工場がある。3工場のうち、福井と生野の2工場で同じものを生産できるようにしていたが、物流面の問題やBCP対策の面から、関東にある石岡工場でも他の2工場と同じものを生産できるよう設備を増強し、3工場のそれぞれが、すべての製品を生産できるよう体制を整えた。

 1985年には中国に合弁で生産拠点を立ち上げた。中国工場では発泡ポリエチレンと合成ゴムスポンジを生産している。ゴムに関してはブロックだけでなく、連続長尺による生産もできる。売上高は10億円ほどで、年々増加している。中国ではゴムスポンジの方が伸びている。販売は日系企業が6、ローカル企業が4の割合。

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