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小売・サービス・農業等へ適用範囲を大幅に拡張

ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ、「TETOTE」使用の“移動するソフトロボティクス”を初披露

工業用品 2025-02-03

 ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズは、1月22~24日まで東京ビッグサイトで開催したFactory Innovation Week 2025内の展示会「ロボデックス」で、ソフトロボットハンド「TETOTE」(テトテ)、吸着パッドとのハイブリッド型ハンド「TETOTE and」(テトテ アンド)を展示した。

 「TETOTE」は、ブリヂストンのゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)を使用したソフトロボットハンド。ゴム人工筋肉による4本の“指”を使い、1台で様々な大きさ・重さ・硬さのモノに対し、つまむ、つかむ、つつむといった動きを使い分け、把持することを得意とする。

紙をめくる「TETOTE」
(指のカバーにニトリルゴムを採用)


 一方同製品は、トレーに隙間なく詰め込まれた箱のピッキングが不得手。“指”を差し込む隙間が無いからだ。

 このような課題解決のため開発したのが、「TETOTE and」。「TETOTE」の中心部に真空吸着パッドを搭載し、把持と吸着を両立した。吸着部は伸び縮みする構造のため、ロボットアームを突っ込むことなく高速でのピックもできる。またピックした際に“指”が振れ止めの機能を果たし、高速でも安定した搬送を実現した。

ワークを吸着し、把持する
「TETOTE and」


 今回の展示会で同社は、製造業・物流業に向けて、ピッキング自動化ソリューションに関する3つのデモを実施した。

 そのうち初披露となったのが、「TETOTE」とAGV(無人搬送車)を組み合わせた、移動するソフトロボティクスだ。展示会では、ハンドが小型冷蔵庫の扉を開けてペットボトルを取り出し、棚入れ・棚出し、また来場者へ製品紹介カードを渡すといったデモ内容を公開した。

移動するソフトロボティクス


 移動できるメリットと、柔らかいハンドの特長を掛け合わせることで、物を持つだけでなく、移動を伴う一連の様々な作業をロボット1台で自律的にこなすことができる。

 製造・物流での新たな用途だけでなく、小売・サービス・農業といった分野にまで適用範囲を大幅に拡張させる可能性を提示した。

 「AGVという“足”を手に入れ移動可能になったことで、作業の幅が広がった。今回の展示を通して、様々なフィードバックをいただきたい」(ソフトロボティクスベンチャーズ)

 ほかにもビジョンシステム・AIと高度に融合することで、同社ソフトロボットハンド史上最高の処理能力を実現した、「TETOTE and」による物流業向けピッキングソリューションを紹介。

 また製造工程を想定したデモでは、「TETOTE」が部品箱から必要な部品をピッキングするデモ内容を公開。仕切り箱からバラ積みまで、多様な荷姿に対応して作業を自動化する様子を見せた。

 さらに同デモで使用されたハンドには、従来のシリコーンゴムのカバーではなく、ニトリルゴムのカバーを使用し耐性を強化。「製造業の場合、バリが発生したワークや、尖っているものがある。把持する際シリコーンのカバーだと裂けてしまうこともある。そこでニトリルゴムを採用し、強度を上げたハンドを用意した。より多様なワークを、安全に把持することが可能になる」(同)。

 これらデモにより、目覚ましい進化を続けるビジョンシステム・AIの可能性を、柔らかいロボットが最大限に引き出すこと、また、ピースピッキングの自動化を阻む3つの制約―①遅い(速度)②持てない(把持できる対象数)③掴みにくい(環境)―を取り払い、これまで自動化を諦めてきたユーザーに新たな可能性を提示した。

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