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「umaru」による共創の促進を期待

ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ×長谷工コーポレーション、柔らかいロボット「umaru」が創出する「住む」と「働く」への価値を実証実験

工業用品 2024-12-17

 コロナ禍を経て働き方が変わりゆく中、「働く場」も多様化し、自宅やコワーキングスペースなどオフィスに出社する以外の形が増加した。一方、「住む」と「働く」の距離間が近づいたことで、仕事とプライベートとの切り替えが難しい等の課題も顕在化している。

 そこでブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズと、大手総合建築企業・長谷工コーポレーション(東京都港区)は11月22日~12月13日、ソフトロボティクス ベンチャーズによる柔らかいロボット「umaru(うまる)」の、「住む」と「働く」をより柔軟にする価値を検証する共同実証実験を実施した。具体的には、長谷工コーポレーションが運営する共創型レジデンス「コムレジ赤羽」(東京都北区)内の共用スペース「ツドイラウンジ」に「umaru」を設置。仕事におけるストレス軽減や、同ロボットをきっかけに生まれる居住者同士の会話・交流の発生等、共用スペースの活性化を検証した。

音山CEO(右)と小島智枝子氏


 「umaru」は、「日常に寄り添い、働く人々の心を支える」をミッションとした、柔らかいロボット。2023年11月の国際ロボット展で体験コンセプトを発表し、2024年4月にプロダクトユニット化した。ブリヂストンのゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)で編み込んだハンモックとの触れ合いで、人々の心が無意識に「落ち」、リフレッシュ・スッキリする価値を持つ。加えて、ゴム人工筋肉の独特の動きによって、外向きの社交性を促進する価値の検証も進めている。

 コムレジ赤羽は、約5,200平方メートルの敷地に、シェア型企業寮の「社会人棟(168戸)」、学生寮の「学生棟(112戸)」、賃貸マンションの「賃貸棟(60戸)」といった3棟(全340戸)で構成される共創型レジデンス。コンセプトは「集まる楽しさを、自分たちの成長へ。」で、ラウンジやカフェテリア、共用キッチンなど多彩な共用施設やサービスにより、同じ棟に住まう入居者同士、さらには入居棟を超えた繋がりを生み出すことを目的としている。

 11月27日にウェルビーイング市場への新規参入を発表したソフトロボティクス ベンチャーズ。対して長谷工コーポレーションでも、「マンションに対する費用以外の価値創造を生みたいと考える中で、ウェルビーイングを重要視している。ウェルビーイングと住宅は、切っても切り離せない。マンション内で人と人の繋がりを生むきっかけとして、『umaru』に注目した」(小島智枝子長谷工コーポレーション都市開発部門不動産投資事業部事業開発部部長)。両社のコラボレーションによるシナジーを期待し、今回の取り組みに至った。

体験した居住者の9割がリフレッシュ効果を実感

 実験の対象者はコムレジ赤羽内の社会人棟と賃貸棟の居住者で、9~22時の間、回数制限なくいつでも「umaru」を体験できる。1回の体験時間を3分半とし、「曲を1曲聴く程度の気軽さを想定し設定した。だが、これが最適解だと思っておらず、今後もより最適な体験時間を検証していく」(ソフトロボティクス ベンチャーズ)。

「umaru」


 実験では、①リフレッシュ効果②ストレス解消効果③居住者同士の会話・交流の促進効果といった3つの効果を検証。体験者による12月9日時点のアンケート結果(34人が回答)によると、約95%がリフレッシュ効果、約80%がストレス解消効果、約55%が外向きの社交性促進の効果を感じたと回答した。「約75%、つまり4人に3人の体験者が、今後もコムレジ赤羽に『umaru』があり続けることに肯定的な反応だった」(同)という。

 また「回数を重ねるごとにじわじわとハマる感覚がある」「くつろぎの場として、『umaru』の周りに人が集まりそう」「もっと全身うまれるように、ハンモックが大きくなると、より良い体験になると思う」といったフィードバックも寄せられた。

音山哲一CEO


 実験結果を受けて音山哲一ソフトロボティクス ベンチャーズCEOは、「この度、初めて『umaru』を人々が実際に生活している場に設置することができた。さらに同ロボットには人と人とを繋げる力がある、そういった価値を感じることもできた。同ロボットが、共創を加速する可能性があることを示唆するものだと捉えている」と語り、「umaru」の可能性を引き続き検証していく方針だ。

 同ロボットは現在2台しかない。「常駐が難しい現状はある。実証実験を続けながら、アップグレードも視野に活動を続けていく」(ソフトロボティクス ベンチャーズ)といい、今後オフィスや空港など、あらゆる日常シーンに「umaru」提供を予定している。同ロボットが共創の一助になることが期待される。

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