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「人とロボットとの歩み寄り」キーワードに

ブリヂストンソフトロボティクス ベンチャーズ、表参道にて無目的室「Morph inn」を開催

工業用品 2024-05-28

 ブリヂストンの社内ベンチャーであるブリヂストンソフトロボティクス ベンチャーズとクリエイター集団Konel(コネル)は、未来体験を提供するための共創型プロジェクト「Morph inn(モーフ・イン)」を立ち上げた。ブリヂストンのゴム人工筋肉を使用した柔らかいロボット「Morph」(モーフ)を核に置き、体験型イベント「Morph inn」をseeen(東京都・表参道)で5月17日~25日に開業した。

seeen(東京・表参道)



 ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズはこれまで、ゴム人工筋肉を活用した産業用向けの器用な手「TETOTE」や、触れ合いにより心を動かすソフトロボティクス「umaru」などを商用化に向けて展開してきた。

 今回のプロジェクトでは、クリエイター集団Konelと共同で“人とロボットの歩み寄り”をキーワードに「Morph(モーフ)」を開発。また、プロジェクトの施策の一つとして、柔らかいロボットに心身を委ねる体験型イベント、無目的室「Morph inn(モーフ・イン)」を試験的に展開した。

 「私がブリヂストンに入社して出会った言葉に“ブリヂストンは世界の道を知っている。でも、ゴムは未知に溢れている”というものがある。この“未知”の部分をクリエイター集団のKonelと共同で具現化していく。それがまさにこのプロジェクト、Morph innだ。表参道という、目的を持って歩いている人々であふれている忙しい街に、あえて無目的の場所を作ってみるという実験的要素もある」(ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズ創業メンバー/主幹山口真広氏)


 Morphにはゴム人工筋肉としてブリヂストンのラバーアクチュエーターが内蔵されている。タイヤや油圧ホースの技術を適用したゴムチューブと、それらを包む高強度の繊維を使用したスリーブとで構成されており、空気圧をかけることで筋肉の収縮を表現する。また、今回はゴム人工筋肉に象の呼吸や潮の満ち引きといった“動物・自然界の動き”をセンシングしたデータをインストールしており、データで空気圧を制御することでそれらの動きを再生する。人とコミュニケーションをとることもなく、人に合わせて制御されることもない。ただ生物的に動作するMorphは、期待や目的を持つことなく共存できることが特徴だ。

 体験型イベントでは3台のMorphを連結させ、その上に横たわる。身体の上にはMorph miniを掛け、抱きしめることで身体の上下で“生の動き”を体感する。Morphについては「1台それぞれが独立して動作可能。1台で使用する事はもちろん、台数を増やし連結していくことで幅を持たせるなど、自宅や空間のサイズに合わせてユニットを作っていくこともできる」(同)という。

Morphを体験するモデルのようす


会場にはMorph体験のほか、Morphに搭載されたモーションデータセンシング技術を体験することができるコーナーも。


 ブリヂストンソフトロボティクスベンチャーズは、「2030年頃を目安に社会実装を目指している。ロボットハンドの倉庫、工場導入を目指していくことはもちろん、今回のMorphのように“人の心を動かす可能性”というのを引き続き探求していく」(同)方針だ。

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