【新年インタビュー】住友理工松井徹社長兼COO
北米の生産体制を強化
工業用品 2017-01-17
「中期経営ビジョン『2020V』の基本戦略の中で、自動車用品は新規顧客開拓、それも日系だけでなく欧州、米国のカーメーカーとの取り組みをしっかり行い、サプライヤーの地位を築いていくとともに、一般産業用品も海外市場展開を進めていく。2017年はそれらの取り組みを実質的につくり上げていく年にしたい」と、抱負を語る。
■2016年を振り返って
為替動向に振り回された一年だったといえます。今期(17年3月期)期初に1ドル=120円を想定していたのが、上期(16年4-9月)が終わった時点で下期の想定レートを100円に修正。それを踏まえて、通期業績見通しを下方修正しました。
11月に入ると“トランプ・ショック”が加わり、為替の先行きを見通すことが難しくなってきました。さらにグローバル化の加速により、世界はボーダレスに向かっていましたが、今は逆の動きがみられ、“国境”というものが再び意識されるようになってきたようです。欧州の難民問題、英国のEUからの離脱などをみると、今までの延長線上から少し違った方向に世界が動いていると感じています。
今後は従来の振れ幅よりも、さらに大きな振れ幅の時代を迎えるのではないだろうか。そのため、大きな変化に対応できる施策が必要になるだろうと考えています。そうした中で一番の気がかりは、トランプ次期米国大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しに言及していることです。当社はメキシコにまさに投資を行っている最中なので、この行方が気がかりです。
■2020Vの進捗状況
15Vで策定した、将来的にグローバルなメガサプライヤーを目指すという目標を踏襲しつつ、そのうえで20Vを策定しました。その中でグローバル生産体制や新規顧客開拓については、構えとしてはできつつあると思っています。そこで20Vでは、それらの中身をしっかりと構築し、成果が出るように努めていきます。
さらに今後伸ばす部分として、環境技術や情報化社会を見据えた新製品開発を行い、グローバル顧客への拡販を図るなど、実効あるものにつくり上げていきたいと考えています。
■海外拠点の現況と計画
北米は日系自動車メーカー向けに生産体制の強化を図るため、ウレタン製品向けにテネシーで建屋を増築し、生産拡張を行っています。メキシコは防振ゴムの第2工場が完成し、17年から増産を行う予定です。
欧州は景気が底入れして回復基調にあり、防振ゴム事業は黒字化しつつあります。自動車用ホースでは、イタリア子会社の構造改革が進んでおり、ポーランドは日系自動車メーカー向けの拡販体制を整えるため、新会社を設立して生産準備を進めているところです。
東南アジアは景気回復が遅れていますが、インドネシア拠点は黒字化が見込まれるところまできています。インドは防振ゴムと産業用ホースの拠点がありますが、期待はしているものの、まだ難しい市場といえます。
ロシアは建機向け部材の合弁会社がありますが、ロシア市場が急速に冷え込んできたため、現地生産を中止して日本からの供給に切り替えています。
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