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【新年インタビュー】日本ゴム工業会南雲忠信会長

「クルマの進歩への対応とIT関連技術の活用が課題」

工業用品 2017-01-06


 一般社団法人日本ゴム工業会の南雲忠信会長(横浜ゴム会長)に2017年の年頭に当たり、今後の事業活動やわが国ゴム業界の課題などを聞いた。南雲会長は「自動運転技術など、自動車は技術革新が進んでいる。ゴム製品は進歩が見えにくいが、クルマの進歩にどのように対応していくかが課題だ」などと、次のように話した。

 ■2016年のゴム業界を振り返って
 ゴム業界を支えている自動車生産台数が1-10月は前年同期比98.0%となり、このままいくと2年連続マイナスとなりそうです。生産の落ち込みは、熊本地震やカーメーカーの不正問題、為替の円高などの要因が挙げられます。

 その影響がゴム製品にも波及しています。医療・衛生用品、運動競技用品、ゴム板を除く自動車タイヤ、ゴムベルト、ゴムホースは軒並み前年実績を下回っています。

 16年の新ゴム消費量は、5年連続で前年実績を下回ることが予想されます。その背景のひとつとして、自動車部品などは軽量化が進んでいるため、そうした動きが新ゴム消費量に影響を与えている面もあると思います。量ベースでは、しばらくつらい状況が続くのではないでしょうか。

 原材料関係では、天然ゴム価格が少し上がり始めていますが、合成ゴムを含めて原材料全般では下がっています。原油価格が低迷していることが背景にありますが、それでも電力などは高止まりしており、厳しい一面はあります。

 原材料価格の低迷の要因としては、世界的に需要が落ちてきていることがあります。需要の停滞が一番大きく影響しており、むしろ需要を心配しています。

 16年の大きな話題としては、日本開催が11年ぶりとなり、福岡県北九州市で開催されたIRC/国際ゴム技術会議です。約30カ国から技術者、研究者がたくさん参加して成功裏に終わったと思います。

 こうした会議がきっかけとなり、日本が世界のゴム工業をリードしていく役割を果たせたらよいと思います。

 ■16年のゴム工業会活動の現況
 16年は会長として1期2年の任期が終わり、再任されて2期目に入りました。さらに副会長が3人体制となり、一般社団法人として会員の利益を最優先に各委員会の活動を中心に運営していくことに努めています。そのためにも、一番力を入れているのが会員の意見をきちんと聞いて、それを事業活動に反映させることです。

 また、工業会の役割として標準化活動に力を入れています。その役割を担うISO/TC45国内審議委員会が創立20周年を迎え、7月に記念式典を開催しました。この20年でゴム製品に関する標準化活動は、大きな成果が出ていますが、そのベースになっているのが、日本の技術レベルの高さです。日本は、国際標準開発の中心的役割を果たしており、国内審議委員会は良い仕事をしていると思います。

 一方、新たに設置したIRSG(国際ゴム研究会)対応委員会では、5月にIRSG総会、10月にIRSG内のIAP(産業諮問パネル)会議に参加しています。これまで当会で中心的に行ってきた需給統計に加え、ゴム産業に関する持続的発展のためのプロジェクトに関する議論も進行しています。現在、世界のゴム産業の大きなテーマとなっており、引き続き対応していくことが必要と考えています。

 ■ゴム業界および日本ゴム工業会の課題
 日本も含めて世界的にM&Aが進んでいくと、企業間格差がますます出てくると思います。さらにイノベーションが進むと、技術革新がきちんとできる企業とそうでない企業との格差も広がっていきます。

 その技術革新では、特に自動車は自動運転技術などを含めて外から見てもどんどん進歩していますが、これに比べるとゴム製品は進歩が見えにくい製品です。ゴム産業は自動車に支えられているので、クルマの進歩にどのように対応していくか、これが課題になると考えています。

 一方、生産拠点を海外に移す動きは今後も続くとみています。そうなると海外勢との競争の中で、ますます日本の技術がキーとなる場面が増えてきます。日本の強みは何か。それは品質、技術はもちろんですが、環境対応だと思います。製品も環境への対応が求められており、これが技術の要ですので、それをきちんと進めていかないと、海外勢との競争の中で将来、明暗が分かれるのではないかとみています。

 さらに生産現場では、あらゆるモノがインターネットでつながる「I o T」の世界が今後広がってきます。また、労働力不足が今後ますます顕在化するとみられるので、ICT(情報通信技術)を駆使し、人の手がかからない生産現場をつくることも必要になってきます。コスト競争力をつけるためにも、こうしたIT関連技術を上手に活用した企業が生き残るのではないかとみています。

 いいものを真面目につくっているだけでは生き残れません。IT関連にどれだけ取り組むか、10年先にその結果が出てくると思います。

 工業会会員の多くは中小企業であり、海外進出にしてもIT関連技術の活用にしても情報が入りづらい場合もあると思います。工業会としてそうした企業に情報を発信していくことも重要な役割であり、できるものから積極的に対応していきたいと考えています。

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