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【新年インタビュー】ブリヂストン津谷正明CEO

「オリンピックが良い影響を与えてくれると実感」

タイヤ 2017-01-06


 「今年も重点課題であるグローバル企業文化の育成、経営人材の育成、経営体制の整備に取り組んでいく」と語るブリヂストンの津谷正明取締役代表執行役CEO兼取締役会長。国内生産の再編・強化を進め、研究開発設備も拡充し、さらなる成長を目指す。

 ■2016年を振り返り
 当社は2014年にオリンピックの公式パートナーになり、16年3月には東京パラリンピックのゴールドパートナーにもなりました。そして8月にはリオオリンピックを経験しました。この経験により、オリンピックというものが私たちに非常に大きな、良い影響を与えてくれるものだと実感しました。

 4月に発生した熊本地震では、当社の熊本工場も被災しましたが、幸いにしてBCPの一環で進めていた安全管理システムが稼働して、全員の安全を確認することができました。改めて、BCPの準備を怠らずに訓練を進めることが重要であると確信しました。

 ■ソリューションビジネスとGD賞
 昨年は、商品単体からターゲットを定めたソリューションビジネスへの転換をはかり、鉱山・農機ソリューションカンパニーを設立しました。久留米工場で航空機用ラジアルタイヤの生産能力を増強し、航空機タイヤソリューションの強化にも取り組みました。

 「サイホン排水システム」という、建築物のレイアウト自由度やメンテナンス向上に寄与する排水技術が、グッドデザイン賞を受賞しました。グッドデザイン賞は毎年受賞していますが、商品ではない分野での受賞は初めてです。こうした新技術で受賞できたということは評価に値すると思います。

 ■イノベーション推進
 イノベーションという点では、強靭高分子複合体など新材料の開発を推進しました。これは産官学連携による革新的な取り組みで、省資源タイヤの開発に寄与するものです。また最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION」を彦根工場に初導入しました。当社独自の革新的な製造法で、高精度・高生産性を実現します。ブラジル・リオデジャネイロでは、輸送業者の協力を得て、当社独自のITシステム「Tirematics」を活用した輸送ソリューションの実証試験を開始しました。

 ■多角化事業
 多角化事業の拡充として、ファイアストンの屋根用断熱材の生産拠点をドイツに新設します。欧州で2つめの生産拠点で2018年に操業開始の予定です。当社では、免震ゴムの開発・生産にも力を入れていますが、約30年間使用された当社免震ゴムの性能確認試験を実施した結果、長期耐久性が実証されました。また昨年、世界遺産に登録された国立西洋美術館には当社の免震ゴムが採用されており、こうした文化の保護にも役立っています。

 ■生産体制再編・販売網の強化
 生産体制の再編として、東京工場で乗用車用タイヤの生産を終了し、研究開発設備の拡充に着手しました。国内生産の再編・強化を着実に進め、研究開発設備も拡充し、グローバルR&D体制の最適化を推進していきます。

 販売網の強化・拡充という面では、昨年5月に仏大手自動車整備業チェーンのスピーディ社を買収しました。また7月には独プノイハーゲ・マネジメント社と合弁事業について合意しました。これにより欧州市場での事業拡大をはかります。

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