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【社会に貢献する技術力】

バンドー化学、産業用ベルトメーカーのパイオニアとして活躍

工業用品 2017-03-22

 バンドー化学は、1906年神戸で創業し、昨年110周年を迎えた。創業以来、産業用ベルトメーカーのパイオニアとして事業活動を展開している。

 現在では、自動車・産業機械・農業機械などに使用される伝動ベルト、土砂や鉄鉱石などを運搬するコンベヤベルト、食品加工や物流などの現場で使われる軽搬送用ベルトに加え、複写機などに組み込まれるクリーニングブレードや建築・医療・装飾関連のフイルム製品など、ゴム・ウレタン・樹脂の機能部品メーカーとして、世界10数カ国でグローバルに事業を展開している。

 同社が日本初のコンベヤベルトの製造を開始したのは1921年のこと。同社の地元神戸では、神戸市が高度経済成長期から「山、海へ行く」を合言葉に、六甲山地を削ってニュータウンの開発を行った際に発生した大量の土砂をコンベヤベルトで運び、海を埋め立て、人工島のポートアイランドなどを造成したが、そこで活躍したのもバンドー化学のコンベヤベルトだ。

 今後、東京オリンピックの開催やリニア新幹線開業などによりインフラ関連工事も活発化してくるだろう。それに伴いコンベヤベルトが活躍する場面も増えてくると思われる。そこで同社が進めているコンベヤベルトの高付加価値化の取り組みに迫った。

難燃耐熱コンベヤベルトFR7000シリーズ―高温搬送物の安全かつ安定した連続搬送に貢献

難燃耐熱コンベヤベルトF R7000シリーズ


 安全かつ安定した連続搬送が求められるコンベヤベルトの搬送ラインでは、不慮の事故等で搬送ラインが停止することによる損害が非常に大きい。特に火災の原因となりやすい高温搬送物を運搬する搬送ラインでは、難燃性能を有したコンベヤベルトが求められている。

 このような中、バンドー化学では、長年蓄積してきたエラストマー配合設計技術、ベルト設計技術を活用して、難燃性を有したコンベヤベルトの開発に注力。高温物を搬送する用途向けに国内初の難燃耐熱コンベヤベルトFR7000シリーズを開発した。

 2016年10月、FR7000シリーズの第1弾として、ベルト表面温度が60℃-100℃となる領域で使用可能なFR7500の販売を開始し、様々なユーザーから引き合いを得ていると言う。2017年3月には、ベルト表面温度が100℃-180℃と、さらに高温の領域で使用可能なFR7700の販売を開始し、難燃耐熱コンベヤベルトのラインナップを拡充させている。

 同製品の特長は、難燃性と耐熱性を両立させている点だが「従来、当社で採用しているゴムの難燃化手法を適用すると、耐熱性が著しく低下することに加え、コンベヤベルトの重要な特性である耐摩耗性も低下することがわかった」「これらのすべての特性を満足させるために、何度も試行錯誤を繰り返して特殊配合処方を開発した」と開発を担当した産業資材事業部技術部尻池寛之氏は、新製品が完成に至るまでの苦労を語る。ベルトの延焼を抑制することで安全性に貢献できる期待の製品だ。

急傾斜コンベヤ、パイプコンベヤ―省スペース化を実現、環境配慮で高評価を得るパイプコン

作業現場の省スペース化がはかれる急傾斜コンベヤベルト


 バンドー化学の急傾斜コンベヤベルト「フレクスベルコンベヤベルト」の最大の特長は、作業現場の省スペース化ができる点。傾斜角度は最大90度(垂直)まで設計でき、設備の占有面積の大幅削減ができる。また、大きな横剛性を有する本体ベルトと押えローラの使用により、水平から傾斜、傾斜から水平への変角が容易でコンベヤのライン形状を設備のレイアウトに応じて自由自在に設定できる。

 本体ベルトに波桟が付いているため、積載断面積が大幅に向上し、同一幅の一般ベルトと比べ運搬量を飛躍的に増加させることができるのも特長のひとつ。こうした特長を生かし、火力発電所の石炭搬送ラインや道路のトンネル工事などで採用実績を重ねている。

 そのほか、石灰などの粉末材料を密閉搬送できることで、荷こぼれや粉じんの発生を抑制、周囲への環境に配慮したコンベヤベルトとして高い評価を得ている「パイプコンベヤベルト」など、高度な品質や機能に対するニーズに応えるラインナップを揃えている。

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