モノづくり革新進める
住友理工が中期経営ビジョン「2020V」を発表
工業用品 2016-05-30
住友理工は5月23日午後6時から、東京・内幸町の帝国ホテルで同社の西村義明会長兼CEO、松井徹社長兼COOらが出席し、2020年度までの中期経営ビジョン「2020年住友理工グループVision(2020V)」を発表した。それによると、「環境技術強化」「モノづくり革新」「新規顧客開拓」の3点を20Vの経営戦略と設定。20年度に売上高5300億円、営業利益率6.0%を目指す。
自動車新製品開発を加速へ
同社は終わった15年度までの15Vでは、M&A実施によるグローバル供給体制の確立、商号変更、グローバル本社の設置など、「変革と成長」に向けての事業戦略を進めてきた。15年度の売上高は4245億円と、目標の4200億円に達したものの、新製品開発コストの増大、M&A対象会社の収益悪化、新規顧客開拓の遅れなどにより利益目標を達成することができず、収益力の向上が課題となった。
16年度から始まる20Vでは、29年の創立100周年に売上高1兆円の達成を目標とし、20年度までをその仕込みの時期と位置付け、ビジョンテーマを「着実な成長」と「体質強化」に設定。また15Vの残課題と外部環境変化を踏まえ、環境技術強化、モノづくり革新、新規顧客開拓を20Vの経営戦略としている。
20Vの経営戦略、事業戦略の概況は次の通り。財務目標は別表を参照。
■経営戦略
①環境技術強化=環境配慮型製品の開発、環境規制対応技術(燃料蒸散規制対応、製品軽量化)の開発、事業活動におけるCO2排出量の削減・水資源保全・環境負荷物質の使用量低減などに取り組む。
②モノづくり革新=技術の進歩が著しいIoTや情報処理技術などを積極的に利用し、「SRIM 20 Act(スリム20アクト)」としてグループ一丸となって投資・仕掛・リードタイムを2分の1以下とし、生産性2倍、災害ゼロを目指す。
③新規顧客開拓=既存事業では、23カ国105拠点のグローバルネットワークや、新たに設立する自動車新商品開発研究所(仮称)を活用し、グローバルマーケットにおける拡販活動や、自動車以外の事業の海外展開を積極的に進め、新規顧客を開拓する。
■事業戦略
15Vで定めた6分野を選択と集中により再整理し、「自動車」「インフラ」「エレクトロニクス」「住環境・健康介護」の4分野に絞り込む。
①自動車事業=ビジネスモデルの変革、新製品開発、新規顧客開拓、M&A対象会社の収益化に取り組む。グローバルの目標シェアは、防振ゴムは15年度の24%から20年度は27%、自動車用ホースは13%から16%を目指す。
特に20Vでは、自動運転技術の進化など新たな技術ニーズに対して、防振ゴム・自動車用ホース・ウレタン事業に次ぐ自動車新製品開発を加速させる。
②エレクトロニクス事業=プリンタ機能部品の製品群の拡大、ウェアラブル機器への参入など新事業の創出などに取り組む。
③インフラ事業=新興国への高圧ホース拡販、鉄道車両用防振ゴムの日本・中国・欧州・北米の世界4極拡販、産業機械向け柔軟センサ等の新製品開発などに力を入れる。
④住環境・健康介護事業=販売網の構築と海外展開、健康介護分野への展開、医療認証の取得、海外向け拡販に注力する。
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