【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、産地安と通商リスクで急落
連載 2018-06-25

マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=170円台中盤まで下落する展開になった。5月22日の202.10円をピークとしたダウントレンドを踏襲し、3月26日の173.30円を下抜き年初来安値を更新している。2016年10月以来の安値圏での取引になる。
上海ゴム相場も1トン=1万1,000元台のボックスを完全に下抜け、早くも1万元の節目割れが目前に迫っている。こちらは16年1月以来の安値更新になっている。
ゴム相場の急落を促がしているのは、「産地相場安」と「米中貿易摩擦」の2つである。6月入りしてからは産地主導の下押し圧力が目立っているが、そこに米中貿易摩擦のリスクが加わったことが、下げ相場をエスカレートさせている。
産地の供給環境は、前週に続いて良好である。サイクロンの発生もあったが、東南アジア全体では適度の降水量が確保されており、農産物生産に問題は生じていない。引き続きインドネシアのジャワ島付近で降水量の少なさが目立つが、ゴムのタッピング(樹液の採取)に大きな障害が報告されるには至っていない。
タイ中央ゴム市場の集荷量にも大きな混乱はみられない。若干、集荷水準が切り下がっていることで、農家の売り渋りのリスクも警戒されるが、供給サイドの要因で現物相場を押し上げていくような動きは確認できない。実際に現物相場は、USSが6月14日の1キロ45.65バーツ、RSSが47.47バーツに対して、21日時点ではUSSが43.46バーツ、RSSが46.23バーツとなっている。急落とは言えないが、前週比でUSSが4.8%安、RSSが2.6%安であり、産地発の値下り圧力は維持されている。
一方、6月15日にトランプ米大統領は中国からの輸入500億ドル相当に対する課税を発表し、中国政府は同強度の報復措置を行うとしている。世界1位と2位の経済大国が本格的な貿易戦争に突入する中、「米中経済の減速懸念」と「投資家のリスク回避傾向」の2つが、ゴム相場を押し下げている。中国市場に対する依存度の高い非鉄金属相場の下げが目立つが、その流れがゴム市場にも波及している。
このため、このまま「産地相場安」と「米中貿易摩擦」がゴム相場を下押しする流れが基本になるが、既に産地ではコスト割れが警戒される価格水準に到達している。現時点では、産地で農家の抗議デモといった具体的な動きは確認されていない。しかし、過去にはゴム相場の低迷に苦しんだゴム農家が政府に対して抗議デモを行った経験のある価格ゾーンに突入している。ゴム農家がどこまでの安値を許容するのか、限界ラインが打診されている。
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