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Win(顧客)- Win(仕入先)- Win(ニシヤマ)の関係を

【インタビュー】ニシヤマ新社長西山正晃氏、専門知識持つ人材を育成

商社 2017-04-03


 昨年5月で100周年を迎えたニシヤマ。この4月からは新体制を発足させ、新社長には西山正晃専務取締役が就任した。西山新社長は「顧客に愛される会社を目指し、社員の幸福も追求していきたい」と話す。

 ■ニシヤマという会社をどう思うか
 一言で言うと、顧客の“懐”に入り込んでいる会社だと思う。顧客に対し単に物を売るのではなく、買ってもらうためには何が必要かを実践している。私は以前、石油元売りで10年以上働いていたが、ニシヤマに入社した時、その点でイメージしていた商社とは違った。

 商社として顧客とは大変親密な関係があり、その関係は当社にとって財産だ。今後もこうした関係を続けていくことが私の使命だとも思う。

 一方で、かねて仕入先も非常に大切にしている。顧客のニーズを拾い上げ、仕入先と一緒になって開発するのが当社のノウハウで、それが商売の原動力といえる。

 右から左に物を流すだけの仕事では、スケールメリットで価格競争となり負けてしまう。表面上の商売ではなく、懐に入り相談に乗るのが当社の仕事の真骨頂だ。安心して使ってもらえるものを納入すること、かゆい所に手が届くものを提供することが使命だと思っている。そうした製品は適正な利益が出るので、一緒に開発する仕入先にとっても良いことだ。今後もそうしたフィールドで商売することがメインになるだろう。

 ■新社長としての抱負
 独自の技術で、それを武器に価格競争に巻き込まれないようにし、顧客、仕入先とともにWin-Win-Winの関係をキープしていきたい。そのためには技術、知識、忍耐力が必要となるが、人材を育て、それを競争力にしていく。顧客に愛される会社、そして社員の幸福も追求していきたいと考えている。

 ■新社長の課題
 専門知識を持った人材の育成を進めていかなければならないし、そこにかける費用も増やしていく考えだ。営業マンとしてのスキル向上のため、社外の講習会にも積極的に参加させており、それを部署内で発表する場も設けていきたい。今後も階層に合った能力開発を行っていく。

 ■今後注力していくもの
 正直迷っている部分もあるが、これからはIoTの時代であることは間違いない。当社は半導体向け製品を扱っており、IoT分野に不可欠な半導体の伸長は著しい。IoTは廃れていくものではなく、これから大きく発展していくものだ。取引のある顧客のニーズを的確に捉え、IoTの流れに乗り遅れないようにしていきたい。

 ■従来からある製品については
 当社の中で、従来からあるガスなどのエネルギーや鉄道分野の売り上げは大きい。そして、これらの分野でも新たなニーズが拡がっている。例えば、ガスなら工事にかかわるガス管パトロールのシステム、鉄道なら車両内の掲示板や軌道関係などといった具合だ。エネルギーや鉄道といった従来からある分野でも、その仕事は新しくなってきているので、まだまだ仕事はあると考えている。

 ■理想の売上比率
 IoT関係が増え、他分野が減らないようにすることが理想だ。エネルギー関係はこれまでを見ても、そんなに大きくもならないが、だからと言って小さくもならない。鉄道分野は、ITを活用することでこれからも拡がりが見込める。半導体関係は、社内では現在4位の売り上げ規模を持つ分野だが、今後はこれが伸びていくと考えている。そのためには人員もしっかりと増強していきたい。

 ■新中計がスタート
 17年3月期の売上高は、310億円ほどになる見通しだ。4月から始まる新中計では、最終年度である3年後の売上高を350億円に伸ばしたいと考えている。半導体と鉄道が伸びるとみている。

 また現在は伸びが止まっているが、貿易についても伸ばしたい。顧客がグローバル調達になってきているので、当社の海外拠点同士の売り買いも積極的に行い、対応していきたい。

 西山正晃氏の略歴
 1967年7月生まれ、91年3月法政大学社会学部応用経済学科卒業、同年4月コスモ石油入社、2003年12月同社退職、05年9月Suffolk University Sawyer School of Management Graduate School 入学、07年5月同校卒業、経営学修士取得、同年7月ニシヤマ入社、営業本部本部長付、08年4月執行役員・営業本部副本部長、同年6月取締役・営業本部副本部長兼ガス営業部長、11年4月同・国際事業部長、13年4月NISHIYAMA Corporation of America President、15年4月取締役・営業本部副本部長、16年1月専務取締役
 家族は妻と子ども1人。趣味は落語鑑賞、好きな落語家は古今亭志ん朝。好きな言葉は、ある棋士の言葉「勝って驕らず、負けて腐らず」その都度結果を引きずってはいけないということ。「新しいことにチャレンジする時、失敗は付き物。失敗を恐れても仕方がないので、何事にもチャレンジしていきたい。そういう風土の会社にしていきたい」(西山正晃社長)

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