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【シリーズ】SUSTAINABLE & RUBBER

ニシヤマ、自家消費PV×EV充電器でエコな取り組み-「事業所向けスマートエネルギーシステム」を提案・推進

その他 2023-10-23

 ニシヤマは現在、自家消費太陽光発電(自家消費PV)と電気自動車(EV)充電器を掛け合わせた「事業所向けスマートエネルギーシステム」を提案・推進している。自家消費PVとは、社内で使用する電力を自社の太陽光パネルで賄うもの。社会全体でサステナブルに関する取り組みが加速している中、その施策のひとつとして注目されている。ニシヤマは、これまで培ってきた太陽光発電ビジネスのノウハウを活かし、パートナー企業と連携しながら、このエコな取り組みを一貫してサポートする。同社はこの取り組みを、本格的な脱炭素社会実現への対応・参画へのワンステップとしても捉え、注力していく。

「事業所向けスマートエネルギーシステム」イメージ


 

事業所向けスマートエネルギーシステム

 ニシヤマが提案・推進している「事業所向けスマートエネルギーシステム」は、自家消費太陽光発電(自家消費PV)と、電気自動車(EV)充電器を掛け合わせることで、よりスマートな電力運用を実現できる。

屋根に設置されたソーラーパネル


 同システム構築にあたり、これまで同社が培ってきた太陽光発電ビジネスのノウハウを凝縮させている。同社ではかつて、中国でソーラーパネルを生産していたが、生産終了以降もその経験を活かし、粛々と周辺部材の取り扱いを続けてきた。現在同社では、一点ものとも言える各現場の仕様に合わせた、太陽光発電に必要な各商材--ソーラーパネル、フェンス、蓄電池、キュービクル、変圧器など--を取り扱っている。同システムは、EPC(設計、工事、導入シミュレーション)業者と連携し、ニシヤマが主に材料調達、メーカー開拓、連系時の運転調整までワンストップで対応する。

 「顧客満足度は高い状態だ。当社のレスポンスの速さをはじめとする優れた対応力、またパートナー企業との連携により、ユーザーごとに合わせた柔軟な提案ができる」(ニシヤマ)
 

全量売電から自家消費発電へのシフト

 そもそも太陽光発電システムには、全量売電(FIT)と自家消費の2種類がある。前者は、発電した電力を全て電力会社へ売るシステムのことで、後者は発電した電力を建物内で消費するシステムだ。

 昨今、国からの支援もあり、FITから自家消費発電へ移行する動きが活発になっている。今後数年は蓄電池への補助金や、中小企業の一括償却など、システム導入への支援が継続されると考えられる。
 

自家消費発電導入のメリット

同システム導入のメリット


 自家消費発電導入によるメリットの一つに、CO2削減策がある。実施することで企業のイメージアップにも繋げることが可能だ。

 また昨今、企業の経営を圧迫している一因である電気代上昇を解決する手段の一つとしても、自家消費型太陽光発電設備の導入は効果が期待できる。電気を売電するより利回りがアップするためだ。「電気代が上昇傾向であるため、このメリットはより感じやすいだろう」(同)。

EV充電器


 この自家消費発電にEV充電器を組み合わせることで、車を蓄電池代わりにすることができる。たとえば、所持しているEVの電気を災害時に充電器を通して事務所の電気として賄うなど、一時的なライフラインの確保が可能だ。CO2削減や電気代上昇への対策だけではなく、強固なBCP対策の側面も併せ持つ。

 「2022年は約20件ほどだったが、2023年は上半期時点で同等の受注があった。前年に比べ2倍の規模を見込んでおり、ニーズの高まりを感じている。また当社自らも、社屋や事業所へこのシステム導入を進めているところだ。来年にはソーラーパネルやEV充電器の設置が完了する。当社でも実施することで、その有効性に説得力を持たせたい。社内のショールーム化も検討している」(同)
 

課題と展望

 鉄道事業に強いニシヤマは今後の展開について、「鉄道の市場を狙っていきたい」(同)という。たとえば、各駅の屋根にソーラーパネルを設置すれば、かなりの電力を賄えるのではないかと見込んでおり、大幅なCO2削減にも貢献できると考えている。「もちろん同市場のみならず、当社の顧客への展開も推進していきたい」(同)。

 一方課題もある。受注増を目指す中、現在の社内体制でどこまで案件を増やすことができるかだ。

 「担当社員だけではなく、社内全体に向けた勉強会を実施し、システムへの理解を深め、営業体制を強化していく」(同)
 また、ライフサイクルも課題だ。

 「設置した“後”のことも考える必要がある。同システムは、導入すれば10年、20年は継続可能なものなので、その後のことも責任をもって対応していく」(同)

 ニシヤマにとって同システムへの取り組みは、ビジネスとしてもさることながら、脱炭素社会の実現、そして次のステージへ向かうためのワンステップとして捉えている。

 「脱炭素社会が今後どのような方向性になるのか、未知の部分もあるが、今できることに最大限取り組み、脱炭素化に貢献していきたい。ナレッジを蓄積しながら、変容する時代とそのニーズに、柔軟に対応し続けていく」(同)

太田龍宏常務取締役(右)、二井田豊営業本部ITソリューショングループ主事(左)


 ゴム報知新聞版「SUSTAINABLE & RUBBER」は、ゴム業界に関連する国や団体、企業などによる「持続可能な社会の実現」に向けた活動に焦点を当てるシリーズです。なお、弊社ポスティコーポレーション発刊のムック本「SUSTAINABLE & RUBBER」(2022)の掲載内容とは異なります。

 ポスティコーポレーション発刊のムック本「SUSTAINABLE & RUBBER」(2022)の詳細はhttps://gomuhouchi.com/other/49351/まで。

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