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【マーケットアナリティクス】

天然ゴム相場の6月前半のレビューと6月後半のアウトルック

連載 2016-06-15

6月前半チャート
 

6月前半のレビュー

 6月前半のTOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1㎏=164.00円での取引開始後、中国経済の減速懸念や円高を背景に、10日に2月15日以来の安値となる147.50円まで下落した。6月1日に発表された中国の5月財新/マークイット製造業PMIは15か月連続で製造業の活動が縮小していることを示している。また、経済協力開発機構(OECD)は世界経済が「低成長の罠」に陥り、成長の足踏み状態が続く可能性を警告している。上海期貨交易所の認証在庫は年初から一貫して増加し続けており、中国国内の天然ゴム需給は緩和し続けるとの見方が、国際ゴム相場の上値を圧迫している。

 タイ産RSSは月初の1㎏=58バーツ台前半から51バーツ台中盤まで急落している。5月中は消費地相場と比較して下げ渋る場面が目立ったが、異常気象によって悪化した集荷環境の改善が進んでいることに加えて、相場の先安感から在庫売却を急ぐ動きもみられる中、足元では逆に東京ゴム相場の下げをけん引するような動きも観測され始めている。

 しかし、150円の節目割れで目標達成感が広がる中、同水準から更に大きく値崩れを起こすことはなく、その後は150円を挟んで方向性を欠く展開になっている。上海ゴム先物相場も、4月21日の1トン=1万3,240元をピークに急落したが、足元では1万元の節目水準で下げ渋っている。上値が重いながら、下値を攻めきれない状況と言えそうだ。
 
 

6月後半のアウトルック

 6月下旬は中国で重要経済統計の発表は予定されておらず、中国経済に対する根強い不信感はそのまま維持されよう。6月前半の上海ゴム相場は1万元水準で下げ渋ったが、非鉄金属相場が下値切り下げ傾向を維持する中、改めて上海主導で国際ゴム相場の水準切り下げが促されるリスクに注意したい。このまま異常気象などによる突発的な供給障害が発生しないのであれば、ゴム価格の値下がりによって生産調整を促すことが要求される基本環境に変化はみられない。150円の節目、更には1月と2月に付けた年初来安値144.50円を下抜けば、チャート環境からも140円、130円と下値切り下げを試す動きが強まりやすい。

 また、6月23日にはイギリスで欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票が予定されており、仮にそこで国際金融市場に大きな混乱が生じると、他コモディティ相場と同様に天然ゴム相場も急落する可能性がある。特に円高と重なると、東京ゴム相場の下げはきつくなる可能性も想定しておく必要がある。

 一方、目先の反発シナリオとしては円安の可能性に注目している。6月14~16日にかけて日米で金融政策会合が開催されるが、仮にそこで円安・ドル高への基調転換が見られると、円建てゴム相場は160~170円水準までリバウンドを試す可能性がある。米国で改めて年内2回の利上げ方針が示されたり、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が追加利上げに積極姿勢を示すと、思いがけないドル高(円安)が誘発され、円安連動で東京ゴム相場が上昇するパターンには注意が必要である。

 当然に産地供給トラブルには注意が必要だが、ラニーニャ現象のリスクを織り込むのは時期尚早だろう。気象庁のエルニーニョ監視速報では、「夏の間にラニーニャ現象が発生し、秋にかけて続く可能性が高い」とされているが、これは7月以降の相場テーマになる見通しである。

【レンジ】
6月前半の取引レンジ 147.50~164.80円
6月後半の予想レンジ 135.00~162.50円

【プロフィール】
小菅 努(こすげ つとむ) マーケットエッジ株式会社 代表取締役

 1976年千葉県生まれ。筑波大学卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。コモディティ市場や金融市場の調査・研究・分析業務に従事。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)

http://www.marketedge.co.jp/
https://twitter.com/kosuge_tsutomu

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