【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、米中首脳会談控え売買交錯
連載 2025-10-27
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=310円を挟んで売買が交錯する展開になった。急激な円安が一服したタイミングで米中の対立激化に対する警戒感が強まると、一時301.00円まで下落した。しかし、その後は需要家の在庫手当ての動きが報告されたこと、米中関係の改善期待もあって安値修正が進み、再び310円水準で売買が交錯する不規則な値動きになった。

上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元台後半で上値の重い展開になった後、1万5,000元台前半まで切り返した。中国自動車市場の減速懸念が強く、上値の重い展開が続いている。
中国の7~9月期国内総生産(GDP)は前年同期比4.8%増となり、4~6月期の同5.2%増から減速している。景気の先行き不透明感から、特に消費の落ち込みが警戒されている。政府の成長目標「5%前後」を割り込み始めたことはネガティブ。
一方、10月20~23日に中国共産党の全体会議(四中全会)が開催された。閉幕後に会議の詳細が発表されたが、事前に景気刺激策への期待感などを織り込んでいくことは見送られた。
米中関係を巡る評価は、日々揺れ動いていることも、ゴム相場の値動きを限定した。10月30日から始まるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に合わせて、米中首脳会談が開催される見通し。トランプ米大統領は関税の応酬は「持続可能性」がないとして、広範な貿易合意に向けて楽観的な見通しを示す一方、首脳会談が行われない可能性も示唆するなど、発言内容がブレている。
原油や非鉄など、他のコモディティ市場も米中関係のリスクをどのように評価するのか気迷いムードを強めており、ゴム相場も明確な方向性を打ち出せなかった。11月に米中関係が改善に向かうのか、関税の応酬が再開されるのかが注目されている。
産地では引き続きタイなどで豪雨が報告されているが、供給リスクの織り込みは見送られている。大規模な生産・流通障害が発生しているわけではなく、産地相場も特に目立った動きはみせていない。OSEゴム相場のサヤは不規則だが、やや順サヤ(期近安・期先高)傾向が強い状態を維持していることも、供給リスクに対する関心の低さを示している。
為替市場では円が急落、急伸、急落と数日単位で大きく揺れ動いている。ただし、10月21日の衆参両院の首相指名選挙で自民党の高市早苗総裁が、第104代首相に選出されると、いわゆる「高市トレード」と呼ばれる株高・円安圧力が発生したことはポジティブ。10月17日の1ドル=149.36円から、23日には152円台中盤まで切り返している。
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