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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、株高・円安で押し目買い

連載 2024-02-19

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=272.30円まで下落した後、290円水準まで切り返す不安定な値動きになった。中国市場が春節(旧正月)の連休入りする中、13日の取引では一時272.30円まで下落した。しかし、その後は株高・円安環境で押し目買いが入り、290円の節目に迫る展開になっている。

 中国は2月10~17日が春節の連休になり、上海ゴム市場は9日から休場になっている。こうした中、ゴム相場は新たな相場テーマを探る局面になったが、株価や円相場の動向に強く影響を受ける展開になった。

 日経平均株価は1990年1月以来、約34年1カ月ぶりの高値を更新している。ゴム相場に対しては直接的な関係がある動きではないが、売買テーマを欠く中で、日経平均株価の急伸が円建てゴム相場も押し上げた。

 また、為替が1ドル=150円台までの円安・ドル高に振れたことも、円建てゴム相場の押し上げ要因になった。米国経済の底固さ、1月の米国消費者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ着手に対して一段と慎重になるとの見方が強くなった。日本銀行がマイナス金利解除後も積極的な利上げは行わないとの見方が強くなっている影響もあろう。2023年11月16日以来の円安・ドル高環境になっていることが、円建てゴム相場を押し上げている。ただし、150円台では日本当局の円買い介入が警戒され、円安・ドル高圧力に一服感がみられた。

 タイ中央ゴム市場(ソンクラ)のRSS現物相場は2月15日時点で前週比2.7%高の1キロ=71.99バーツ。春節の連休前は、中国勢の在庫手当が一巡したとの評価から、調整売り優勢の展開になっていた。2月5日の72.89バーツをピークに、9日には70.09バーツまで下落していた。しかし、JPXゴム相場が株高・円安を背景に地合を引き締めると、産地相場も上昇地合に転じている。これまでは産地主導の値上がり、その後は反落局面になっていたが、春節中はJPXゴム相場の値動きを後追いする展開になった。

 産地集荷環境には目立った混乱などはみられない。ウインタリング(落葉期)に入っているが、集荷量は安定している。日本の気象庁によると、夏には異常気象「エルニーニョ現象」が収束して平常の状態になる可能性が70%とされており、積極的に天候リスクを織り込むのは難しい状況になっている。

 もっとも、JPXゴム相場の反発は中国の春節中の値動きになるため、2月19日の連休明け後の上海ゴム相場の動向が注目される。なお、連休中の非鉄金属相場は中国経済の減速懸念から上値の重い展開が続いている。

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