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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、円高の上値圧迫が続く

連載 2023-12-18

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=230円台中盤まで下落し、10月11日以来の安値を更新する展開になった。前週に続いて円高環境の上値圧迫が強かった。また、上海ゴム相場が戻り売り優勢の展開になったこともネガティブ材料視された。

 上海ゴム先物相場は週前半に安値修正の動きがみられ、12月6日の1トン=1万3,115元をボトムに11日には1万3,690元まで切り返していた。しかし、その後は徐々に戻り売り優勢の展開になり、1万3,000元台中盤での取引になっている。

 格付け会社ムーディーズが中国の格付け見通しを引き下げたショックは一服しているが、中国経済に対して根強い不信感がみられることが、上海ゴム相場の上値を圧迫している。中国経済に関連の深い資産価格は、総じて軟調に推移している。

 12月11~12日に中国中央経済工作会議が開催され、同国国営メディアによると2024年の景気回復を支えるための政策調整を強化する方針が示されている。2024年も積極的な財政政策と慎重な金融政策を堅持する方針が示された模様だ。ただし、マーケットの関心が高い不動産セクターに対する目立った支援は打ち出されておらず、マーケットでは失望感が強かった。不動産開発の新たなモデル開発を加速させるとしているが、具体策に乏しい。

 中国汽車協業協会(CAAM)は、2024年の国内自動車販売台数が前年比3%増の3,100万台になるとの見通しを示した。2023年は11.7%増が推計されているのに対して、大幅な鈍化が予想されている。CAAMは、需要縮小と供給問題、景気期待の後退で困難に直面するとの認識を示している。

 一方、供給環境は安定している。産地では徐々に乾燥傾向が強くなっているが、減産期への警戒感よりも豪雨被害の一服の方が重視されている。タイ中央ゴム市場の集荷量は高水準を保っている。ただし、RSS現物相場(ソンクラ)は12月14日時点で前週比1.3%高の1キロ=54.70バーツと若干の底固さをみせている。産地供給環境については、ゴム相場に対する影響は限定的だった。

 引き続きJPXゴム市場では円相場の動向が重視されている。日本銀行が早期に利上げに踏み切るとの観測は後退しているが、米長短金利低下がドル安・円高を促す展開になっている。12月12~13日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米金融当局者が2024年中に3回、合計0.75%の利下げを想定していることが明らかになった。一時は1ドル=140円台位と7月31日以来のドル安・円高が記録されたことが、円建てゴム相場の下落圧力に直結した。

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