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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、中国リスクで今年最安値圏

連載 2022-10-31

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=210円台中盤まで急落し、年初来安値圏に到達した。上海ゴム相場が改めて値を崩したことに加えて、為替が大きく円高方向に振れたことが、ゴム相場の上値を圧迫している。10月27日の取引では、9月7日に付けた年初来安値214.10円と同値まで値下がりしている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000元の節目水準まで急落した。10月上旬は1万2,000元台後半で揉み合う展開が続いていたが、中国共産党大会を挟んで一気に値を崩している。中国経済に対する信頼感が急速に後退しており、中国株や資源価格が総じて軟化している。

 共産党大会では、「ゼロコロナ政策」の成果が高く評価されており、今後も同政策を堅持する基本方針が示された。国民からの反発の声が強まる中、「ゼロコロナ政策」の目的は達成されたとして修正が行われるとの観測もあった。しかし、今後も僅かの感染者が報告されるだけで、大規模検査や都市封鎖などが行われるリスクを抱えた状態が続くことになる。

 また、共産党大会では習近平国家主席が異例の三期目政権に突入することが決まった。対立勢力を政権中心部から大胆に排除し自身に忠実な人物を集めた新たな指導部が発足している。

 マーケットでは、習政権が独裁色を一段と強めたことに加えて、経済政策運営の経験が十分にない人達ばかりが起用されていることで、今後の経済成長に対して懐疑的な見方が広がっている。格差是正のための「共同富裕」が重視されており、今後は経済成長で段階的に中国全体が豊かになることよりも、大企業や富裕層に分配を求めることで豊かさを目指す傾向が一段と強まるとの警戒感も広がっている。

 直ちに中国経済環境に大きな変化が生じる訳ではないが、海外投資家を中心に中国経済に対する不信感は著しく高まっており、上海ゴム相場は急落している。さらに中国経済リスクを織り込む動きがみられるかが焦点になる。

 しかも、為替市場では円が急伸している。1ドル=151.94円をピークに145円台までの円高・ドル安になっており、為替要因だけでも円建てゴム相場は値下がりしやすい環境になった。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、10月27日時点でUSSが前週比2.0%安の1キロ=47.57バーツ、RSSが同2.5%安の49.73バーツ。東南アジアでは豪雨や洪水被害の影響で集荷量が抑制されているが、産地相場は軟調だった。今後も多雨傾向は続く可能性が高いとみられるが、天候不順や供給リスクよりも、消費地相場との連動性が重視された。

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