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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、中国コロナで急反落

連載 2022-06-20

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=250円台前半まで急反落する展開になった。中国経済の正常化期待を背景に6月9日高値は267.30円に達し、4月18日以来の高値を更新していた。しかし、その後は中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大する兆候が報告されたことが警戒され、戻り売り優勢の展開になった。

 上海ゴム先物相場は、6月9日の1トン=1万3,580元をピークに1万2,000元台後半まで急落している。6月入りしてからは、上海市のロックダウン(都市封鎖)が解除されるなど、経済活動が正常化に向かい始めていたことが、ゴム相場を押し上げていた。中国政府はこのタイミングでインフラ投資、新車販売奨励などの景気対策も打ち出しており、少なくとも短期需要環境はV字型の回復を見せるとの見方が好感されていた。しかし、北京市や上海市では再び経路不明の感染者が報告されており、6月11~12日に大規模なPCR検査が実施されたこともあり、マーケットには緊張が走った。中国政府はあくまでも「ゼロ・コロナ」政策を維持しているため、感染対策でロックダウンを含む大規模な行動規制が導入されるのではないかとの警戒感が広がっている。

 6月16日時点では飲食店の営業規制など、比較的軽微な行動規制が中心になっている。このため、マーケットも落ち着きを取り戻しつつあるが、ここから改めて大規模な行動規制に踏み切るのか、経済正常化プロセスにおける一時的な混乱に留まるのかは、明確な見通しが立たない状況にある。世界で「ゼロ・コロナ」政策を採用しているのは中国だけだが、ゴムの主要消費国の需要環境が一瞬で急変するリスクを抱えている以上、急伸していた相場が突然に急反落したように、不安定な地合が続きやすい。4月と比較すると新規感染者数は極めて少ないが、中国当局がどのような感染対策を講じるのかに依存する展開になっている。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、6月16日時点でUSSが前週比5.3%安の1キロ=63.78バーツ、RSSが同6.2%安の66.12バーツと急落している。消費地相場の値崩れを受けて、産地相場のみが上昇トレンドを維持するようなエネルギーはなかった。

 東南アジアでは引き続き降雨過多状態が続いている。大規模な洪水被害などは報告されていないが、USSの集荷量は低迷状態が続いている。一方、RSSの集荷量は6月入りと前後して増加傾向を強めており、USSとRSSとで集荷環境が大きく異なっていることも、ゴム相場の値動きを不安定化させている。急ピッチな値下がりを受けて、集荷環境に変化がみられるかが焦点になる。

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