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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、不安定化するも小幅高

連載 2022-05-30

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=240円台後半まで小幅上昇する展開になった。上海ゴム相場が戻り高値を更新する動きを見せるなか、一時に比べ円高傾向ながら底固く推移した。中国経済のリスク評価を巡って不安定な地合が続いているが、週全体を通じて見ると楽観ムードの方がやや優勢だった。産地相場がじり高傾向を見せたこともポジティブ材料視されている。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万3,000元の節目水準で揉み合う展開が続いたが、4月22日以来の高値を更新している。中国では新型コロナウイルス感染被害の影響について強弱評価が割れており、明確な方向性を打ち出せていない。上海市では6月から行動規制が順次緩和される予定であり、6月中旬から下旬にかけてはロックダウン(都市封鎖)の完全解除が目指されている。一方で、北京では再び感染者数の増加が報告されており、首都でロックダウンを迫られるのではないかとの警戒感も強い。

 中国の李克強首相はパンデミックの脅威が世界を襲った2020年よりも同国経済がいくつかの面で悪化しているとの厳しい見方を示しているが、一方で政府や中央銀行は景気の下支えに意欲を示している。このため、鉄鉱石や非鉄金属相場は不安定な値動きになり、ゴム相場も明確な方向性を打ち出せているとは言い難い。ただ、一応は短期的な混乱状態は脱しつつあるとの評価の方が優勢だった。

 大手金融機関は中国の経済成長率見通しを相次いで下方修正しているが、「ゼロ・コロナ」政策がもたらすサプライチェーンの混乱は中国経済に留まらず、世界経済にとっても大きなリスクになっている。このため、感染状況や景気対策の動向次第で大きく揺れ動く可能性を抱えながらも、底固さを見せる展開になった。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、5月26日時点でUSSが前週比1.4%高の1キロ=65.03バーツ、RSSが同0.6%高の1キロ=69.55バーツとなった。タイでは全国的に豪雨や洪水被害が報告されている。異常気象・ラニーニャ現象の影響が警戒される。5月はUSS相場の横ばいに対してRSS相場が堅調に推移していたが、USSも上昇傾向を強め始めていることはポジティブ。

 一方、為替市場で円高傾向が強くなっていることは、ネガティブ。5月中旬には1ドル=131円台に乗せる場面も見られたが、足元では126円台まで円高が進行している。上海ゴム相場の値動きが不安定化するなか、円高圧力は円建てゴム相場の上値を圧迫する要因になった。このまま円高傾向が続くと、為替要因が上昇エネルギーを限定することになる。

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