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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、中国のコロナ警戒で急落

連載 2022-05-09

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=250円水準まで軟化する展開になった。中国で新型コロナウイルスの感染被害が一段と深刻化したことを受けて、中国経済の減速懸念を織り込む動きが優勢になった。産地相場の値下がり傾向が続いていることもネガティブ材料視され、3月18日以来の安値を更新している。円相場の動向はあまり材料視されなかった。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000ドル台中盤まで急落した。4月中旬は1万3,000元台中盤で揉み合う展開が続いていたが、一気に年初来安値を更新している。

 中国では3月頃から新型コロナの感染被害が広がりを見せ、香港に続いて上海でもロックダウン(都市封鎖)が行われた。その後は感染被害が落ち着く兆候が見られたことでロックダウン緩和の動きも始まったが、依然としてロックダウンは解消できていない。加えて、4月下旬には首都北京でも感染被害の拡大が報告され、大規模検査が実施されている。その結果次第では北京もロックダウンの対象になる可能性があり、ゴム需要の落ち込みが強く警戒されている。

 習近平国家主席の主導する「ゼロ・コロナ」政策を大規模都市で展開する限界も見え始めているが、現時点では政策調整の議論は活発化していない。世界的には「ウィズ・コロナ」政策が主流になっていることで、感染被害拡大と経済成長鈍化の関係性が薄れているが、中国に関しては例外になっている。中国経済成長の鈍化はもちろん、世界的なサプライチェーンの混乱も報告されており、そのダメージは中国一カ国に留まらない可能性が高まっている。新車生産・販売の鈍化によって新車用タイヤ需要の落ち込みが警戒されることに加えて、行動規制の強化が続くと買い替え用タイヤ需要にもダメージが生じる可能性がある。

 中国政府、中央銀行による景気対策期待から極端なリスクオフ化は回避されているが、先行きが見通せない状況が上海ゴム相場の上値を圧迫している。

 一方、産地相場の値下がり傾向も強くなっている。タイ中央ゴム市場ではRSSを中心に集荷量が上向いており、減産期型の相場上昇圧力が一服している。4月27日時点の現物相場は、USSが前週比4.5%安の1キロ=63.52バーツ、RSSが同5.5%安の65.58バーツとなっている。RSSは4月上旬に一時76バーツ台に乗せていたが、減産期型の上昇一服後の急落局面が続いている。すでに2月下旬の価格水準に回帰しているが、まだ底入れを確認するには至っていない。産地相場がどの価格水準で落ち着きを取り戻すのかが注目されている。

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