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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、原油安で調整売り優勢

連載 2021-11-08

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、RSSが1キロ=220円水準まで軟化する展開になった。230円水準で乱高下が繰り返される不安定な地合が約2週間にわたって続いていたが、文化の日の休場明け後の4日の取引で、約3週間ぶりの安値を更新する展開になった。原油相場の急落を受けて、コモディティ市場全体で上値の重さが目立ち、ゴム相場も調整売り優勢の展開になった。

 上海ゴム先物相場も、1トン=1万4,000元台でやや上値の重い展開になっている。投機色の強い不安定な地合が続いているが、早期に1万5,000元台を回復することはできず、上値を圧迫されている。ゴム需給環境がほとんど重視されない地合が続いており、投機主導の乱高下を繰り返しつつ、最終的には原油相場急落で値位置を切り下げた格好になる。

 米中製造業指標の悪化はネガティブ。中国の10月製造業PMIは前月の49.6から49.2まで低下し、2カ月連続で活動の拡大・縮小の分岐点となる50を下回った。また、米国の10月ISM製造業指数は前月の61.1から60.8まで低下している。世界的なサプライチェーンの混乱、原材料価格の高騰、中国の電力不足なども経済活動を抑制する要因になっている。

 引き続き、各国の新車販売台数は低迷している。半導体不足による自動車生産の混乱はピークを脱したとの見方もあるが、新車用タイヤ販売環境の正常化にはなお時間が必要な状態が続く。ただ、現在のゴム市場では販売低迷を織り込むことも、逆に改善期待を織り込むこともなく、需要サイドの動向はあまり材料視されていない。

 東南アジアでは広範囲にわたって豪雨が報告されており、コーヒーやパーム油など農産物の供給体制に対する影響が報告されている。特にベトナムは洪水被害発生後も雨がちな天候が続いており、さらに大規模な洪水が発生するとの懸念も根強い。また、農業セクター全体で労働力不足も報告されているが、ゴム相場は需要サイドと同様に供給サイドの動向にもあまり関心を払っていない。

 タイ中央ゴム市場の集荷量は、ほぼ横ばい状態で安定している。11月4日時点の現物相場は、USSが前週比1.4%安の1キロ=53.18バーツ、RSSが同2.5%安の56.59バーツ。RSSは10月21日の57.63バーツをピークに上値を抑えられながら乱高下が繰り返されているが、もっぱら消費地相場の値動きと連動したものになっている。

 上海取引所の認証在庫は過去4週間で17%の急増になっており、需給安定化が示唆されている。国内在庫の水準も過去1カ月で5%増加しているが、在庫環境もあまり材料視されていない。

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