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マーケットアナリティクス

天然ゴムの動向、玉整理次第の小動きが続く

連載 2021-02-08

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=225~240円水準で玉整理次第の不安定な展開になった。明確な売買テーマを設定できず、押し目買いと戻り売りが交錯し、前週の取引レンジをほぼ踏襲する展開に留まった。

 上海ゴム先物相場も1トン=1万4,000元台で明確な方向性を打ち出せていない。数日単位で上昇と下落を繰り返しているが、結果的にトレンドを形成できていない。

 JPXゴム、上海ゴムともにチャートは典型的な三角持合になっており、強弱バランスが拮抗した状態が続いている。

 世界の株式相場は不安定化した。米国の個人投資家の投機的な売買で投資環境が不安定化する中、リスク選好性を後退させたファンドが手仕舞い売りに動いた。ただ、その後は証券会社の取引規制の動きなどから市場環境は落ち着きを取り戻し、早期にリスクオン環境に回帰している。原油相場が約1年ぶりの高値を更新していることもポジティブだが、こうした外部環境主導の売買は見送られている。

 中国は2月12日が春節であり、ゴムに限らず資源需要全体が抑制される傾向にある。このため、非鉄金属相場は短期的な需要減を警戒して調整売りに上値を抑えられているが、ゴム相場は目立った値動きを見せていない。

 一方、供給サイドの動きも鈍い。タイ中央ゴム市場の現物相場は、2月4日時点でUSSが前週比1.1%高の1キロ=53.71バーツ、RSSが同0.4%安の56.70バーツ。前週の軟調地合から小幅切り返してるが、ほぼ横ばい状態に留まっている。

 集荷量は安定している一方、ウインタリング(落葉期)の時期を迎えていることで、今後の供給減少に対する警戒感は時間の経過とともに高まる方向性にある。ただ、産地主導の積極的な売買も見送られている。

 マレーシアとインドネシアでは豪雨による農作業の停滞も報告されているが、供給リスクのプレミアム加算の動きは鈍い。ミャンマーでは2月1日に軍事クーデターが行われたが、ゴム相場はほとんど関心を示していない。地域の政情不安、さらには国際社会の制裁といった動きがみられると供給網に混乱が生じる可能性もあるが、国際需給に対する大きな影響は想定されていない。

 当先のサヤも安定している。期中から期先にかけて逆サヤ(期近高・期先安)が形成されているが、大きな動きはみられない。

 売買テーマ不在で薄商いの玉整理が繰り返されるだけの状況になっているが、このまま中国の春節を迎えてさらに膠着感が強まるのか、新たなトレンド形成が打診されるのかが焦点になる。

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