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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、上海市場主導で続伸

連載 2019-04-15


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=190円台前半、TSRが170円台前半まで、それぞれ上昇する展開になった。上海株価の急伸地合には一服感が浮上しているが、上海ゴム相場の上昇地合が続く中、東京ゴム相場は上値追いの展開になっている。RSSは3月20日以来の高値を更新している。

 2月下旬の急伸地合の反動から、3月は専ら戻り売り優勢の展開が続いていた。世界経済の減速懸念が蒸し返されたこともあり、ゴム相場も調整色が強くなっていた。しかし、4月入りしてからは改めて投資家のリスク選好性が強まり、ゴム相場は他コモディティ相場との比較でも地合の強さが目立つ状況になっている。

 上海ゴム相場は3月末にかけて1トン=1万1,000元割れを打診する展開になっていたが、4月入りしてからは逆に1万2,000元突破を打診する展開になっている。

 国際通貨基金(IMF)が1月に続いて世界経済見通しを引き下げる中、上海株式市場では改めて景気減速に対する警戒感が強まり、調整売りが上値を抑える場面が目立ち始めている。

 4月3-5日の米中通商協議で最終合意に至らなかったこともあり、短期筋の利食い売りが膨らんでいる。しかし、上海ゴム相場はこうした株価動向を無視する形で戻り高値の更新が続いており、東京ゴム相場もつれ高する展開になっている。

 一応はリビア情勢の緊迫化で国際原油相場が急伸している影響なども指摘されているが、非鉄金属相場などに明確な動きが見られない中、投機色の強い不安定な値動きになっている。ただ、東京ゴム相場は上海ゴム相場との連動性を強めている以上、上海ゴム相場が4月入りしてからの反発傾向を維持するのか、それとも戻り売りで下押しされるのかが焦点になっている。

 一方、東京商品取引所が発表した3月31日時点の生ゴム指定倉庫在庫は、前旬比395トン増の1万2,490トンとなった。これで7旬連続の増加であり、国内在庫の余剰感は一段と強くなっている。3月はこうした過剰在庫環境が東京ゴム相場の上値を圧迫したが、4月入りしてからは在庫増加を無視する形で反発傾向が続いている。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、USSが前週比0.1%高の1キロ=50.85バーツ、RSSが同0.2%高の54.45バーツ。産地は乾季傾向が強くなっており、4月1日からはタイ抜きでインドネシアとマレーシアの輸出規制が開始されているが、特に産地主導の値動きは確認できない。引き続き、上海ゴム市場における投機マネーの動向が注目されている。

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