【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、当限堅調も期先横ばい
連載 2019-01-21
マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=180円台前半でほぼ横ばい、TSRが150円台前半でやや調整売り優勢の展開になった。
産地相場の堅調地合が維持される中、当限は明確な上昇トレンドを形成している。年初の170円台前半に対して、既に190円台乗せを達成する急伸地合になっている。ただ、期先限月では持ち高調整の売り圧力も強く、底固いものの、上値を更に切り上げるような動きまではみられなかった。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、1月17日時点でUSSが前週比0.7%高の1キロ=43.85バーツ、RSSが同1.3%高の46.13バーツと緩やかな上昇トレンドを維持している。急伸するまでの勢いはないが、高値更新サイクルは維持されており、東京ゴム相場の当限を押し上げるトレンドが続いている。
東南アジアが雨季から乾季への移行時期を迎える中、季節要因を反映した上昇圧力が強い。今後はタイでもウインタリング(落葉期)が本格化することになり、減産圧力を先取りする動きが優勢になっている。
また、このタイミングで生産国の市況対策を巡る議論が活発化していることも、産地相場を押し上げている。タイでは、老木伐採と他農産物への作替えを促すことで、ゴム生産量の約3分の1を削減する計画も浮上している。タイ、インドネシア、マレーシアでの協調介入を巡る議論も行われており、減産期のタイミングに生産国が市況対策をぶつけてくるのではないかとの警戒感が強い。
実際に生産国が実効性のある市況対策で合意できるのかは不透明だが、産地相場の上昇トレンドが支援されている。
ただ、東京ゴム市場では当限の上昇に対する期先限月の対応が遅れ、逆サヤ(期近高・期先安)傾向が強くなっている。17日終値だと当先で7.20円の逆サヤが形成されており、当限の上昇に対して、期先が伸び悩む展開が解消されるか否かが月末に向けての焦点になる。
一方、2018年の中国新車販売台数は前年比2.8%減の2,808万台となった。天安門事件直後の1990年以来、28年ぶりのマイナスになる。欧州や日本でも新車販売は低迷しており、新車向けタイヤ販売環境は悪化状態にあることが再確認されている。
ただ、中国国家発展改革委員会が1-3月期の「良いスタート」のために「工具箱」を充実させるとして景気刺激策を強く示唆する中、需要環境の悪化リスクを背景にゴム相場を下押しするような動きは限定された。
株安・円高圧力の一服状態にも変化はなく、薄商いで期先は伸び悩んだが、当限の上昇地合は維持されている。
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