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連載「ゴムの科学と技術のはなし ~文系と理系をつなぐゴム入門講座~」2

第1章『最初にぜひ知っておきたいゴムの常識』(その1)

ラバーインダストリー 2021-07-17

2 天然ゴムの採取と工業化

 現在のオランダ語でgom、英語でgumと表記される物質は、古代や中世にはアルコールには不溶だが水を含ませると著しく膨潤してゲル状になる植物由来の物質を指しており、その代表がアラビアゴムである。一方、上に述べた中南米から持ち込まれた物質(天然ゴム)もこの植物由来の物質に似ていることからゴム(ガム)と呼ばれるようになった。さらに、イギリスのプリーストリがこのゴムを使ってこする(rub)と鉛筆の文字を消せるということを報告したことから、英語ではrubber と呼ばれるようになった。

 ゴム状物質を含む植物の種類は非常に多いが、今日我々が天然ゴム(Natural Rubber)と呼ぶものは上に見た南米アマゾン流域を原産地とするへベア・ブラジリエンス(HeveaBrasiliensis)というゴムの樹から採取されたものである。このゴムの樹はラテックスと呼ばれる、ゴム成分が30~40 %含まれる乳液で満たされている。ラテックスの採取は樹皮の切り付け(タッピング)によって行われる。ラテックスはタンパク質で保護された直径約1μmのゴム成分が水中に分散する漿液(乳液)である。

 ラテックスはゴムの樹中では安定であるが、採集後は細菌などによって自然凝固しやすいのでアンモニアなどを加えて凝固しない状態に保つ。このラテックスに改めて酸を加えて凝固させ、シート状や小粒状にして原料ゴムとする。この状態を生ゴム(非架橋ゴム)とも呼ぶ。生ゴムは原料製品の形によってシートゴムとブロックゴムに大別される。シートゴムはシート状にして乾燥した後、重ねてプレスして角状にしたものであり、品質によって数十種類の等級に分類されている。

 現在(2018年)天然ゴムの総生産量は約1 、 400万トンであり、国別に見ると1位がタイ(約500万トン)、2位インドネシア(約350万トン)、3位ベトナム(約110万トン)、4位中国(約80万トン)、5位インド(約65万トン)となっている。日本は主にインドネシア、タイから天然ゴムを輸入している。

(次ページ:『3 合成ゴムの出現』)

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