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仏ミシュラン首脳来日し呼びかけ「持続可能な生産と利用」

WWFジャパンがセミナー、天然ゴム調達の変革へ

その他 2017-07-19

インドネシア、タイ、ミャンマーのWWF職員を交えたパネルディスカッション


ミシュランの持続可能な天然ゴムに関する方針を説明するシニアヴァイスプレジデントのマンゲ氏


 世界的規模で年率数%の成長が予測されるタイヤ生産動向を背景に、自動車メーカーが独自に天然ゴムおよびタイヤの調達ガイドラインを策定するなど、天然ゴム調達の変革が求められてきている。

 タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどの主な天然ゴム産地国が集積する東南アジアの自然の森を減少させる要因のひとつとして天然ゴムが与える影響も大きいというもので、今年5月に米国自動車メーカービッグ3のひとつのゼネラルモーターズ社が森林破壊ゼロを目指す中、天然ゴムおよびタイヤ調達ガイドラインを策定する意向を示した。

 2016年には天然ゴムの持続可能な生産と利用を目指すプロジェクトを開始したWWFジャパンとトヨタ自動車の協働がスタート。タイヤメーカーとしてはミシュラン社が2015年にWWFフランスとすでに天然ゴムについて協働を開始し、インドネシアで自然林が残る国立公園に隣接した天然ゴムプランテーションの管理を実施するプロジェクトを開始している。

 7月7日にWWFジャパンは、東京・神田駿河台の中央大学駿河台記念館で「持続可能な天然ゴムの生産と調達」をテーマにしたセミナーを開催した。世界的タイヤメーカーをはじめ天然ゴムのサプライチェーンに関わる企業や団体が多い日本市場において天然ゴム調達の変革の動きを周知することを目的に、天然ゴムの生産現場の実情についてインドネシア、タイ、ミャンマーのWWF職員からの報告を行った。

 また企業の取り組み事例としてミシュラン社のシニアヴァイスプレジデントでチーフプロキュアメントオフィサーのルック・マンゲ氏とCSRマネージャーのエドアー・ドゥ・ロストラン氏がセミナーのために来日し、同社の「持続可能な天然ゴムに関する方針」と、天然ゴムのサプライチェーン全体にわたり環境、社会、労働慣例を評価するスマホアプリ「ラバーウェイ」が紹介された。

 当日は自動車メーカー、タイヤメーカーをはじめ原材料商社、木材や木質チップ関連企業から105人が参集するなど関心の高さを伺わせていた。

 新興国の発展は、自動車タイヤの特に大型タイヤの生産の追い風となり、その原材料として天然ゴムは欠かせない。

 天然ゴムの栽培には高温多湿で強風の少ない熱帯地帯の、一般に北緯15から南緯15度圏内が適しているとされている。およそ362万ヘクタールを超える世界最大の天然ゴム栽培面積を誇るインドネシアではゴム樹の老木化が進み、栽培面積282万ヘクタールのタイの生産性より低い状況だ。またマレーシアにおいては、手間の少ないパームオイルなどへの転換も進むなど、持続可能な天然ゴムを考えると課題が多い。またこの3カ国は天然ゴムの産地国であるとともに、中国、インド、アメリカ、日本に次ぐ消費国でもある。

 天然ゴムの新興産地として期待されている国もあり、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスなどでは栽培面積と生産量が増加傾向にあり期待されている。

 一方、タイヤメーカーとしても、パラゴムノキの品種改良による増産、病気の早期診断や抑制の研究、天然ゴム代替植物の発見と量産化など多方面での研究を行うなど独自な切り口で「持続可能な天然ゴム」への取り組みを行っている。

 ブリヂストンでは「現状、特に自動車メーカーからの具体的な意向は無いが、自社でも持続可能な天然ゴムへの取り組みや小規模天然ゴム農家に対して生産性や品質の安定性につながる技術供与などを行っており、加えて労働環境と自然環境保全の取り組みなども重要な課題として捉え、世界的動向を踏まえながら対応していく方針」としている。

 セミナーで紹介されたミシュラン社の「ラバーウェイ」についてエドアー・ドゥ・ロストランCSRマネージャーは「世界の多くのタイヤメーカーは、天然ゴムの産地において同じ加工工場とサプライヤーから天然ゴムを調達しており、このツールを使うことでサプライチェーンの透明化を効率的に達成できる。当社は森林破壊ゼロで労働環境も整った信頼できるソースから天然ゴムの調達を目指している。環境、社会、労働慣行を評価するスマホアプリは第三者機関が管理する独立したツールとして活用されることが望ましい」と普及を促した。

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