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社会インフラを支える研究開発と、ゴム産業の多様性を学ぶ機会に

日本ゴム協会、2025年度見学会を開催

その他 2025-10-07

 日本ゴム協会関東支部(川添真幸支部長=横浜ゴム)は9月24日、2025年度見学会を開催した。当日は会員企業などから46人が参加し、鉄道総合技術研究所(東京都国分寺市)と横浜ゴム平塚製造所(神奈川県平塚市)を訪問。鉄道インフラ研究の最前線と、工業用ゴム製品の製造現場を見学する貴重な機会を得た。

横浜ゴム平塚製造所での、参加者らによる集合写真


 鉄道総研では車両、土木、電気、情報・通信、材料、環境、人間科学など、鉄道技術に関する基礎から応用にわたる総合的な研究開発を行い、鉄道の発展と、学術・文化の向上に寄与している。

 見学時にはガス分析機能を併設した、鉄道車両用材料の熱量特性を定量的に計測できるコーンカロリーメータ燃焼試験装置を紹介。ほかにも実寸大の鉄道車両の扉を模擬した側扉開閉試験装置の紹介とともに、ドアへの指や異物の挟み込みの検知システム開発などを通じた安全性向上の取り組みについて説明があった。

 また最高時速500キロ対応の車両試験台や、毎時300ミリの雨量を再現可能な大型降雨実験装置なども公開され、鉄道研究のスケールを実感した。

 次に訪問した横浜ゴム平塚製造所は1952年に操業を開始した同社中核拠点で、本社も平塚に構える。従業員約2,400人を擁し、タイヤ事業が売上の大半を占める一方、オフハイウェイタイヤや工業資材の製造にも注力している。

 今回の見学では工業資材工場を対象に、コンベヤベルト、マリンホース、防舷材の各製造現場を視察した。

 まずベルトの製造現場を見学。同社ではスチールコードベルトや多層帆布ベルトを手掛け、2024年に製造ラインを増設。新製造ラインでは効率化と安全性を強化した。

 マリンホースの製造現場では、浮体用や海中用など多様な製品群を紹介。海での視認性を高めるオレンジ色のストライプや油漏れ検知機構など、安全性に配慮した設計が特徴であることが説明された。

 最後に防舷材(エアフェンダー)の製造現場を視察。防舷材は横浜ゴムが世界で初めて製品化したもので、鯨に代わるゴム製品として開発された。手作業で貼り合わせる伝統的な工法や、1962年製の加硫缶が現役で稼働している様子が印象的だった。現在は、「年間約200基を生産している」(横浜ゴム)という。

 見学会は社会インフラを支える研究開発と、ゴム産業の多様な応用展開を同時に学ぶ場となり、盛況のうちに終了した。

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